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奈良県吉野杉の産地へ 

吉野杉で有名な奈良県川上村まで職人達と研修に行ってきました。
富山から奈良県川上村まで6時間ほどかかりますが、コロナ禍のために列車は利用せずにチャーターバスにてピンポイントの日帰り研修となりました。

朝4時に工場を出発。バス車内からみるハロウィンの満月。。

午前10時に到着。
向かい側の山は広葉樹の森。紅葉で色づいていました。

私達が見学した場所は、バスから歩いて5分くらいの場所で比較的山の傾斜も緩い場所でしたが、通常は傾斜40~45度ほどの場所に木を植えるとのこと。危険と隣合わせの仕事場です。
少し眠そう・・・
針葉樹の林ですので、広葉樹のように色づいた葉ではありませんでしたが、綺麗に手入れされた杉と杉の合間からの木漏れ日が射して、凜とした美しさがありました。

今回は、120年ものの吉野杉を伐採するところを見ることができる・・ということで職人一同大変楽しみにやってきました。

聞き逃さないようにようにメモ。。

吉野杉は「密植多間伐」(みっしょくたかんばつ)とよばれる方法で杉を育てます。

「みっしょく」とは、一ヘクタールの場所に約一万本の苗木を密集させて植えます。この方法で植えると木が横に広がらず、木がまっすぐ上へ上へと伸びます。(木は生き物なのでたくさんで競争することで日光に当たるために生存競争するそうです。)

 

たくさんの苗木は、2年ほどで最初の間伐(良い木だけを残す)を行い、その後5年、10年と間隔を延ばして最終的には1%(100本だけ)残すそうです。長い時間をかけて手間をかける仕事です。。こんな風に何度も間伐や枝打ちを繰り返すことで、節が少なく木目が細かくなり、上から下まで幹が同じ太さになり、丈夫な木が育つとのこと。

今回伐採した杉は120年前に植えた木ですが、その時の記録が今でも残っており、その記録を元に伐採計画を立てるのだそうです。ちなみに室町時代から植林が始まって以来、この制度は500年続いているとのこと。(18代続いているそうです)

自分が植えた木が製品になるところをみることができない(孫やその子にその仕事を託す)気が遠くなる伝統の製品づくり。日本が誇る林業です。

この地域(川上村、黒滝村、東吉野村)には山守(やまもり)という木を管理する制度が残っており、村民達がこの制度を担っているのですが、1500人もいた山守が、現在では15人だけとのこと。安い外国産の木材の普及で引き合いがなっているという現実があるようです。外国産の木材を使っている日本の住宅・家具メーカーにはぜひ国産木材に切り替えてもらいたいですね。

(ちなみにタニハタは2018年8月に国産材使用率が100%になりました。そのうちヒノキ材が約七割、杉材が約三割ほどです。吉野材は二割前後の使用量です。)

 

ところで私達建具屋は「天然木」と「人工木」では「天然木」の方が貴重で良いもの、という意識が働きます。(天然木には秋田杉、屋久杉、青森ヒバなどがあります。)しかし、「人が手をかけて育てる人工林だからこそ良い木材になる」と自信をもって話しをされる姿をみて人工林に対しての意識が大きく変わりました。

午前、山で木の伐採を見学したあと、午後は吉野川の川下にある製材会社を見学いたしました。

木は標高500メートル~くらいの場所で育ちますが、それを細かく挽き割る作業(製材する場所)は山の麓(川下の里)になります。今ではヘリコプターやトラックで木を運びますが、それらがない時代は、「川・水運」を利用して里まで木を運びました。吉野に限らず、今でも川沿いに製材業者が多いのでそんな理由からです。

木の直径、長さ、材質に応じて人の目で確認しながら選別、加工を行います。

機械を操作して製材する人を「ハラオシ」、カットした木材を受け取る人を「ハナトリ」というそうです。こういうところは我々組子職人の世界と同じで長い経年がものを言う世界のようです。木を人の目で選別しながら少しでも良い材料がとれるように製材を行います。
整然と綺麗に並べられた製材品。 杉材とヒノキ材が並んでいます。
真っ直ぐで目の細かい木目。色も綺麗で節もなく、これぞ吉野杉、という感じです。

今回は 奈良県庁 奈良の木ブランド課の方達のおかげで実現しました。(こういう部署があるところがすごい!)

持続可能な循環型社会の構築が、現在必要とされていますが、目先だけみると「木を伐採する」という行為は、二酸化炭素排出量削減で考えるとNGの行為ですが、「木を伐採した後に植林し時間をかけて適切に木・林を管理し続けるシステム」を守ることは、地球温暖化を食い止めるために大変重要なことです。
こういう日本の林業システムが減少し、森林が破壊され減少することが問題です。(昨年の千葉の台風被害でも大きな問題になりました。もちろん杉花粉の問題も。)

私達日本に住む木工業者は、海外産の木材ではなく、日本の木材を使い、山で大切に育てられた木材を無駄なく使用し、いつまでもお客様に大切に使ってもらえる製品づくりを続けること。それを実行し継続して続けること。木を守るためには、吉野のような日本の林業システムを守る、という我々加工業者の強い意識も必要かと感じました。タニハタは社員数20人の小さな会社ですが、微力ながらアピールしていきたいと思います。

 

帰りは、日本最古の木造建築「法隆寺」を見学して帰りました。

私達が製作している「組子」の原点もここにあると思っています。

万字崩しの格子、枡格子、筬組子・・・何度も来ていますが、いつもいろいろな発見があります。(今回は建築に詳しい説明員の方を事前にお願いしていました。)

1本1本の太い柱に驚いていたら説明員の方が「一番下の写真のように太い木から何本も木を削りだすんですよ」と言われてびっくり。太い木は真ん中の芯の部分が腐りやすく問題がでやすいので柱としては避ける、とは聞いていましたが。。

大工道具もまだまともにない頃のモノづくり・・・1400年前の職人の心意気を感じながら奈良を後にしました。

(富山到着23時30分になりました。早朝見た満月がまた出ていました。)
先週の高山研修も含めていろいろ考えることが多い研修でした。

 

 

 

 

 

 

 

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株式会社タニハタ 代表取締役社長 谷端信夫

代表取締役社長
谷端 信夫

株式会社タニハタは昭和34年に谷端組子店として創業しました。
創業以来、組子一筋でやってきました。モノづくりを極めようとする職人集団のブログです。
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