タニハタブログ Blog

組子らんまを作る会社<タニハタ>の日々の出来事、その思いをブログで綴ります。

山形県ウッドデザイン賞作品 視察ツアーに参加

8月30日、31日の二日間に渡り、ウッドデザイン協会様主催の「山形県ウッドデザイン賞作品視察ツアー」にタニハタの職人2名が参加させていただきました。

一般社団法人日本ウッドデザイン協会は、木を活用した社会課題の解決をめざし、木の調査、研究、開発、事業創造、普及及び啓発する機関として2021年11月設立されました。
建築家の隈研吾氏が会長を務めており、株式会社タニハタも2021年から会員になっております。


●シェルター様本社

シェルター様本社
シェルター様本社 詳細

最初の見学先としてシェルター様本社様の方へ見学させていただきました。

まず出迎えてくれたのが、シェルター本社前にあります大型のパビリオン Global Bowl(グローバルボール)。

直径6.8mという圧巻のサイズ感でシェルター様の加工技術、接合技術の高さを象徴するかのような工芸品のようなパビリオン。これだけのサイズ感で、曲線的な美しさと耐久性を兼ね備えるのはとても大変だったと思います。

建物内で会長様のお話を聞かせていただきました。

木に対してかなり熱い情熱を持っておられ、「木造建築で世界に誇れる日本にしていこう!」ということを皆に呼びかけ、最後には握手までさせていただきました。

ほかにも話の中で出てきた接合金物工法「KES構法」や鉄やコンクリートと同等の耐火性能を持つ「COOL WOOD」、自在な曲げ、削り出しのデザイン「FREE WOOD」などシェルター様の高度な技術についていろいろなお話をいただきました。建設や建築のノウハウを知っている方のお話しを直接聞くことは職人として本当に刺激をうけます。

●シェルターインクルーシブプレイス・コパル

シェルターインクルーシブプレイス・コパル 山形
シェルターインクルーシブプレイス・コパル 室内

続いて見させていただいたのが、シェルター様が主となって建設した児童遊戯施設の「copal(コパル)」

ここは2023年日本建築学会賞を受賞しており、空間内は緩やかな曲線の連続で生み出された非常に気持ちのいい空間でした。子供心をうまくくすぐるような、子供たちが自らどんな遊びをしようかと考えてしまうような、そんな遊び心いっぱいの施設。

月平均1万5千人ほど遊びに来られるそうなのですが、子供同士の衝突の怪我や事故等は未だゼロ。なんでも野山での遊びを思わせるこの施設は子供たちの危険察知能力も向上させるとか…。

管理されている従業員の方々も毎日10名程いらっしゃるようで、よく見ておられるのだと思います。

子供は楽しく遊べ、大人はゆったり楽しめる。そんな素晴らしい空間でした。



●天童木工様

天童木工様
天童木工様工場見学

次に天童木工様へ伺いました。

成形合板技術を主力とする家具メーカー。中でも目に付くのは、曲線的な美しさを持つ椅子「バタフライスツール」(タニハタにも一脚置いています)。
作り方を一言で説明すると・・型で曲線の成形合板を作り、二枚を合わせて金具で固定させる、というシンプルなもの。しかし、この薄い板で大人の体重を支えるこの美しいデザインは「デザイン」と「木工技術」の極限の製品と思います。

実際に工場の中を見学させていただきましたが、成形合板を得意とする天童木工様はやはりプレス機の数が多いのが印象的でした。

受注に関してですが、ほぼ国内からの受注だけで賄っているとのこと。それもオーダーメイドが半数以上を占めるそうで、家具といえば規格品を大量に生産しているイメージがあったのでとても意外でした。

また、工場の外では暴露試験を行っており、屋外にむき出しの状態で配置されている椅子等の劣化具合や強度を定期的に確認されているとのこと。人の目に触れるところでそういった試験をすることで、購入するお客さんもより信頼して選べると思いました。とても良い取り組みだと感じました。

家具と組子、作っているものは違えど木工技術として参考になるところはたくさんありました。

●白鷹町まちづくり複合施設

白鷹町まちづくり複合施設

二日目の朝、最初に向かったのは白鷹町まちづくり複合施設。地域活性、地域林業復興、木材資源循環の起点となる施設だそう。

この建物は令和二年度木材利用優良施設コンクール 内閣総理大臣賞受賞という素晴らしい施設で、基本は町内産の杉から作られた構造材、造作材等から建てられ、建物内には木の良い香りがしました。また、町内産の木材を使用することで地域経済、木材産業の活性化につながります。

エントランス、待合スペースに図書館等、内装の全てが非常にスッキリとした、それでいて杉の統一感があり温かみもある施設。さらにこの施設は町民と意見交換を行い、町産の杉材を使用し、地元の製材所、乾燥センターでと町が一体となって作られていて私はただただ関心するばかりでした。

他にも端材として出た木チップをエネルギー源として役場内に暖房をボイラーから送る等、環境面にも配慮され、持続可能な地域産業の活性化、好循環に繋げています。町民に愛されているのはもちろん、他の自治体からも毎日のように見学に来られるそうです。



●おきたま木材乾燥センター

おきたま木材乾燥センター

次いでおきたま木材乾燥センター。置賜地域の林業発展や地元産の活用のために地元の製材会社や建設会社の出資によって設立された木材乾燥施設。JAS機械等級区分製材(ヤング係数や含水率を機械計測して区分されたもの)の認定を受けたJAS認定工場、その製材の様子を見学させていただきました。

入口に見えたのが私も仕事中によく使っているクロスカットソー。しかし建材や構造材を扱うだけあって非常に長いものでした。

その奥にあるのがマルチ自動四面カンナ盤というここでの製材のメインとなる機械。実際に動いているところを見学させていただくと、左右の円柱状の刃物、奥の両面自動の計四面のプレーナーを通り、さらに機械に通した出口には高周波で計測された材料の含水率やヤング係数等がモニターに表示されるという機械。

組子用の機械は小さなものが多いので、「こんな機械があるのか…」と感心しましたし、木工機械の技術もこれだけ進んでいるんだと、他の工場を見ることでしか気付けないことも感じさせていただきました。

この機械は建材を製材用途で作られたものだと思うので精度面はある程度大雑把なところがあると思いますが、将来的には四軸からなる0.01まで精度が出せる機械。こんなものが出てきたら組子を製作する側としてはとても魅力的だと思います。

おきたま木材乾燥センターを通して地域の企業間の連携や協力体制の重要性を再認識し、地域を支えるためには地元の企業や関係者が一丸となって取り組むことが大変重要であると感じました。



●シェルターなんようホール

シェルターなんようホール
シェルターなんようホール 内装

続いて見学させていただいたのはシェルターなんようホール。世界最大の木造コンサートホールとしてギネスに認定されているホールです。

前日に見学したシェルター様の接合金物工法である「KES構法」や「COOL WOOD」で非常に高い耐震性、耐火性を持つそうです。

エントランスに入ると木の香りがし、周りを見渡すと館内全体に木がふんだんに使われているのがわかります。

エントランスの中心を起点に八方向八本の大きな柱があり、それぞれの柱に山の名前が書いてあります。なんでも中心をこのホールに見立てて八方角それぞれにある柱は山形の名山という地図のような造り。これだけでも木に対するこだわりなどが伝わってきます。

大ホールの中に入らせていただきました。木のぬくもりが感じられる天井や壁、木が生み出す一体感や統一感、そして広大な空間のホールに圧倒されました。

また、この木造の空間の持つ性質が音の響きを柔らかくし、残響時間を短くする効果があるそうです。シェルターなんようホールの残響時間は1.64秒だそうで、このホールの大きさに対してかなり短いそうです。残響しすぎないことで音がよりクリアに、明瞭に届き、透明感のある聴きやすい音として伝わるそうです。

施設の中にある楽屋や練習室等すべての部屋で木材が使われ、使用量は12000㎥以上だそうです。太陽光発電やバイオマス等再生可能エネルギーの積極活用等SDGs推進にも力を入れているようでとても先進的な施設だなと感じます。

音楽をする人、木を愛する日本人にとってはとても理想的な環境で魅力が多く詰まった施設だと感じました。機会があれば是非、このホールでライブやコンサートを聞いてみたいなと思います。

●高畠町立図書館

高畠町立図書館

続いて見学させていただいたのは、町役場に隣接したところに建てられた高畠町立図書館。入口左には縁側があり、そこで本を読むことが出来、右側には扉が付いており開くと屋外ステージとして演奏等楽しめるそうです。(この日は縁側は熱中症対策として読書スペースは無く、屋外ステージは展示スペースとして使われていました)

中に入ると、こちらも木のぬくもりが感じられるスペース。構造は木造+鉄骨だと思いますが、レトロな落ち着いた空間になっていると感じました。また高畠町産の杉を多く使用した図書館ということで地域活性、地域交流をうまく両立させたとても良い施設だと思いました。

使用されている材料に関しては、節のある材料が大半ではあるものの、目の付きやすい場所にはなるべく良いものを使っているのが分かりました。町産材を無駄なく使うという観点から節が多い材料を使うのは仕方のないことだと思うし、今まで自分たちが組子に使ってきた木材が如何に貴重なものだったかを改めて理解しましたし、これまで以上に木材を大切に使っていきたいと思いました。

●高畠町屋内遊技場もっくる

高畠町屋内遊技場もっくる

同じく高畠町にある屋内遊技場もっくるは、廃校となった中学校の体育館を再利用し、子供たちの遊ぶ場所に作り替えた施設。木で作られた公園のような施設で、子供たちにもう一回来たい、もっと来る!と言ってもらえるような願いが名前の由来だそうです。

遊具やおもちゃはほとんどが木製のもの、年齢の低い子供たちが利用することを想定してだと思いますが丸みのあるものが多く、空間自体も優しい空間になっているように感じました。

さらに木を使ったおもちゃは懐かしさを保護者に与えてくれるようなものもあり、子供たちと一緒になって熱心に遊ぶ保護者の方も多いそうです。

また保護者同士の交流の場でもあり、子育ての相談も出来るよう子育て支援センター、ファミリーサポートセンターも併設されているそうです。町が子供の将来をよく考えているからこそ、こういった施設が造られるのだと思うし、そういった施設に積極的に木材が使われていけば木に携わる会社や地域が活性化されるので、こういった施設がもっと増えて欲しいなと思いました。

●感想

今回ウッドデザイン賞を受賞した会社様、施設を多く見ることが出来、とても多くの知識や経験を得ることが出来ました。建築に関するところが多く、様々な話を聞き、学びを得ましたが、私はまだまだ勉強不足でもっと多くの事に触れていかなければならないなと実感しました。

また参加者の皆様も非常に見識の高い方々で、木材や建築に関する知識の深さや情熱に触れ、感銘を受けました。皆さんから聞かせていただいた専門知識や経験を活かし、自分の専門分野についてもさらなる成長を目指したいと思いました。また、コミュニケーションにおいても、初対面の方々ともすぐに打ち解けられ、意見交換や情報交換がスムーズに行われていました。お互いに尊重し、ツアーを進める姿勢が素晴らしく、皆様のおかげでとても過ごしやすい二日間になったと思います。

ウッドデザイン協会の方々や各関係会社の皆様にも感謝の意を伝えたいと思います。ツアーの準備や案内、質問に対しても丁寧な回答をいただいたりと、お忙しい中での対応に心から感謝しています。

また、受賞作品に携わった方々の技術、情熱にも感動しました。素晴らしい作品を生み出すために、日々努力しておられることに敬意を表します。私たちも今まで以上に精進していきたいと思いました。

また機会があれば是非、参加させていただきたいと思います。貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。

                                                                                                    城 広明    和田 玄哉