タニハタブログ Blog

組子らんまを作る会社<タニハタ>の日々の出来事、その思いをブログで綴ります。

組子の製作体験 (8月)

8月8日 
北日本新聞様の「親子で体験! 産業観光バスツアー」が開催され、小学生の親子20組40名が工場見学に来社されました。

富山湾岸クルージングや越中座様にてオリジナル新聞づくり、YKK様センターパークでのファスナーブレスレット作りを体験された後、タニハタにお越しいただきました。

組子 製作体験

今回は親子で1セットスマホスタンドづくりに挑戦していただきました。

初めのうちは、慣れない細かな作業に少し戸惑う様子も見受けられましたが、皆さん徐々にリズムを掴み、楽しげに手を動かしながら作業を進めていく姿がとても印象的でした。

葉っぱがぴったりと嵌ると”気持ちい!!”という声が上がり、周りにいた職人たちが思わず耳を傾け、クスッと微笑んでしまう場面もありました。
常におさまりを追求している組子屋としてこの言葉はとても嬉しいものです。

製作が終わると、完成したスマホスタンドを手に取り、嬉しそうに喜んでいる姿が至る所で見受けられました。
この仕事をしていて本当に良かったと心から感じる、何とも幸せな瞬間でした。

北日本新聞様のバスツアーレポートは下記URLからご覧いただけます。
https://webun.jp/articles/-/661317

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8月23日 
岐阜県から県議会議員の方々21名お越しいただきました。
視察は杉、ヒノキなどの岐阜県産木材需要に関する行政視察でタニハタと射水市のウッドリンク・ラボ様に訪問される内容となっておりました。

SDGsの取り組みや、利休杉の開発、かんなくずの有効活用について当社が取り組んでいる木材の付加価値利用についてお話させていただきました。

タニハタが組子を製作する際に使用しているヒノキは8割近くが岐阜県のものを使用していおり、今回岐阜県からの視察ということでとてもご縁を感じました。東濃のヒノキは組子の材料に大変扱いやすく、海外の方からもとても評判が良いです。

日本の木材自給率をみると国産材使用の割合が一時期高まりましたが、依然として6割以上が海外からの輸入に頼っています。
今後も国産木材にこだわり、その素晴らしさを発信していきたいと思います。

組子の設置写真が届きました。

組子の設置写真が届きました。

●つきじ治作様 (東京)

昭和六年創業の老舗料亭です。隅田川からの風や水の流れが池につながっていくようなイメージとして「水影」をお選びいただきました。

●HASAKI – NY

ニューヨークのイーストビレッジに位置し、1984年から地域に愛され続けている江戸前寿司店「波崎」様。
2024年発表の麻の葉ちらし新シリーズ「あいの風」と「律の風」を納入させていただきました。

●F邸 (ロンドン)

ロンドンにある個人邸に、タニハタの麻の葉ちらし「桜ぼんぼり」を納品させていただきました。

●花山うどん本店様 (群馬)

群馬県館林市にある創業明治27年の花山うどん本店様。
本店の個室に「麻の葉ちらし 結び風」をご採用いただきました。

●森の詩幼稚園様 (埼玉)

埼玉県北本市にある森の詩幼稚園様に特注デザインの組子(半円形)を納入させていただきました。小さな子供達に少しでも伝統工芸に興味を持ってもらいたい、という気持ちから各種伝統文様を散りばめ、曲線枠の優しいデザインで製作させていただきました。

組子写真集にも掲載しております。ぜひご覧ください。

環境に配慮した新しいタイプの展示場

大手住宅ハウスメーカーの積水ハウスさんが東京都青山に出展している[SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス)]に職人達と行ってきました。

積水ハウスさんは現在、戸建住宅のほか、賃貸住宅やマンション、リフォームなどの事業を手がけられており、その累積建築戸数は約254万5千戸(2022年1月末時点)。

この実績は世界の住宅メーカーのなかでも、No.1を誇っています。

そんな積水ハウスさんの展示施設「スムフムテラス」は、家づくりを始める場所として、住む人とつくり手がこれからの「住むコト」を一緒に考えることができる施設です。ここでは、家族みんなで、家づくりを始めることができ、「住むコト」について「フムフム」と考えながら、未来の暮らしを描くことができる新しいタイプの展示場です。

新宿・立川・錦糸町・池袋・青山の5ヶ所で開設しておられます。

今回訪問させていただいたSUMUFUMU TERRACE 青山は2022年2月にオープンし、施設デザインは国内外で高い評価を受けているデザイナー・佐藤オオキ氏率いるデザインオフィスnendoさんが担当されました。

このお店は上記5施設の中でも、アートやデザイン、環境に関心の高いお客様向けの施設になっており、タニハタ組子も2年前にこの施設に設置していただき、多くのお客様から反応をいただいております。

今回、職人達と青山に行く用事があり、訪問させていただきました。

当社の組子が、ずらりと並んで展示されていました。展示品にはQRコードも付いており、読み込むと当社のサイトにリンクが張られていました。
本当にありがたいことです。

アートやデザイン、環境に 配慮した建材などが展示されています。

建築現場からでた建築廃材を使ってアート作品にアップサイクルするイベントも行われていました。

これからの製品は「デザインが美しい」「すごい技術を使っている」だけではなく、「環境」に配慮されていることが大前提になっていると感じます。
環境を意識した私達の組子が、これから住宅を建てる方々の新しいインスピレーションの源となることを願っています。

AEDを使用した心肺蘇生法講習及び応急対応訓練を実施しました

タニハタでは職人達の作業中の安全対策を目的としたAED(自動体外式除細動器) を4年前より工場内に設置しております。
AEDを設置してもいざというときに「機械の操作がよくわからない」「蘇生方法を忘れてしまった」ということを防ぐために定期的に心肺蘇生法講習と応急対応訓練を行っており、今回全社員で訓練を行いました。

講習では、専門家の方からAED(自動体外式除細動器)の使用方法や心肺蘇生の手順についての説明を受け、座学だけではなく実際に蘇生法を社員全員で体験しました。

講習後、複数の社員から、「心肺蘇生法に関する知識と技術が身に付き、もし緊急の場面に遭遇した際には、自らが対応できる自信が持てた」との感想が寄せられました。
何事もないことが最も望ましいですが、万が一の事態に備え、今後も定期的に講習や訓練を継続して実施していきます。

また、事故や怪我が発生した場合の応急対応訓練に加え、工場内の危険な箇所を社内全体で改めて共有する機会を設けました。

作業中に行っていけないことや職人への声がけの方法、材料の投入方法など機械の前で社員全員で再確認を行いました。

我々製造業の現場は危険性をともなう機械を多く扱っているため、日頃の安全対策に加え、一人一人が安全意識を常に持ち行動することが必要不可欠です。日常的に行っている作業を何度も確認することで、これまで当たり前と考えていた作業の危険性を見直す貴重な機会となります。

これからも、お客様に組子を無事にお届けできるよう、日々の安全に細心の注意を払いながら業務に努めてまいります。

組子の製作体験(7月)

7月3日 富山市のインバウンド事業のFamトリップで欧米の旅行会社様が工場見学にお越しいただきました。

今回はインバウンドのツアーでは初めての試みとして、スマホスタンドの製作体験を企画しました。
ツアーの皆さんには角麻の文様を組んでいただきました。

普段体験していただいているミニ組子体験と異なり、金槌やボンドを用いて より実際の組子製作に近い体験内容となっております。
プロジェクターで職人が製作する手順を映しながら、進めていきます。

工場見学の間にペーパーをかけ表面をきれいにして、台座にはそれぞれのお名前をレーザーで入れて完成品をお持ち帰りいただきました。

今後インバウンド向けの工場見学ではスマホスタンドの製作体験も選べるようになります。
海外からタニハタに来られるお客様は日本の伝統工芸に興味を持っていただいている方が多いですが
名前入り組子のオリジナルスマホスタンドがお客様の旅の思い出の一つとなれば嬉しく思います。

西川 万喜子

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7月27日 
ネッツトヨタ富山様で2010年より開催されている、夏の恒例イベント『ネッツ富山フェスタ 2024年』に出展させていただきました。

北日本放送様の「モノヅクリのその先ヘ」というテレビ番組で当社の特集を組んでいただいたご縁でお声がけいただきました。

午前と午後の2部制で行われ、それぞれ映像を通して組子について学んでいただいた後に、実際に組子コースターを製作していただきました。

細くひき割った木に加工を施し、1本1本組付けする映像を真剣に見る子供たちのまなざしが印象的でした。

子供たちは想像以上に玄翁の使い方が上手く、トントンと会場に玄翁の心地よい音が響いていました。

組子の製作体験後は、普段職人が使っている鉋でヒノキ材を削っていただきました。

カンナをしっかり握って薄く上手に削り、出来上がった鉋屑を鼻にくっつけ「いいにおい~」と香りを楽しんでいました。

トヨタ様には「モノづくりは人づくり」という考えがあり「誰かの為に」という想い、知恵と工夫、高い技術と技能、これらを身につけた人財が現場で育っていることがトヨタのモノづくりの基盤となっているそうです。

車と組子、まったく違う業種ですがものづくりに対する想いは同じです。

今回の組子製作体験を通じて、子供たちに日本のモノづくりへの関心をもっていただけたならば嬉しいです。

谷端 美穂

新しい会社看板のお披露目

この度、会社の看板を一新し、高岡のモメンタムファクトリー・Oriiさんによる美しい銅板に変更いたしました。
色は落ち着いた斑紋孔雀色(ダークブラウン系)となり、高級感溢れるデザインに仕上がっております。
手作りの木材インテリア品を扱う当社としては、この看板は、会社の方向性とも馴染みます。

「高岡銅器」とは富山県高岡市でつくられる伝統工芸品で400年の歴史があります。
折井さんは銅をはじめとする金属素材の腐食・錆びを人為的に発生させ、独自の風合い、発色を生み出した金属板で新たな境地をひらいた伝統工芸士です。

この看板が、私たちの工場への新たな入り口となり、訪れる皆様を温かく迎え入れることを願っています。

斑紋孔雀色

折井宏司氏が発明した発色。斑紋ガス青銅色と並ぶ、Oriiブランドを代表する発色。
赤、黄、青が混じったような独自の孔雀色から、その名がつけられました。

日本政府観光局のSNSにタニハタの組子が紹介されました。

日本政府観光局(JNTO)が、情報発信するための公式SNSにタニハタの組子が紹介されました。


JNTO − 国際会議誘致・開催支援

https://www.linkedin.com/posts/japan-convention-bureau_toyama-visitjpabrhokuriku-visitjpabrtoyama-activity-7219611893315854336-qGqN/

https://www.linkedin.com/organization-guest/company/japan-convention-bureau/

日本政府観光局(JNTO:Japan National Tourism Organization)は、東京オリンピックが開催された1964年に日本国の政府観光局として設立され、半世紀以上にわたってインバウンド観光(外国人の訪日旅行)誘致に取り組んできた、日本の公的な専門機関です。

世界の26都市に海外事務所を有し、そのネットワークを活かして、海外におけるプロモーション活動、国際会議等の誘致・開催支援を行っています。

私たちの組子製品が日本政府の公式SNSで紹介されたことは、大変光栄なことです。
今後も、世界のお客様に向けて日本の組子技術を発信し続けたいと思います。

社会に学ぶ『14歳の挑戦』

2024年7月1日~5日までの5日間、富山県教育委員会が主催する「社会に学ぶ『14歳の挑戦』」の受け入れを実施致しました。

この事業は、中学2年生が5日間学校から離れ職場体験をする事により、地域社会の中で様々な人との交流を通して規範意識や社会性を高め、さらには将来の自分の生き方を考えるなど、成長期の課題を乗り越える「生きる力」を育てる事を狙いとした事業です。

タニハタでは本事業の意義に賛同し、新庄中学校3名の生徒さんの受け入れを行いました。

初めて体験する作業に最初は戸惑いながらも、元気いっぱいに一所懸命学んでいく様子が印象的で、日々確かな成長が見て取れた5日間でした。

最終日には以下のような感想をいただきました。

「最初は難しいと思っていたことも続けるとどんどん上達すると分かり楽しかった」「パーツ作りが達人級に早くなった」「自分が関わった組子が海外に実際に納品されると思うと誇らしい気持ちになった」

この5日間でモノづくりの楽しさや、私たちの製品に対する責任感や情熱を実感してもらえたなら嬉しいです。

そしてなにより今回来てくれた3名の生徒さんにとって、「生きる力」を身に付ける一助となっていれば、弊社としても大変喜ばしい限りです。

これからも自分の夢や実現に向けて一歩一歩頑張ってください!

今後も当社は、地域社会との連携を深め、若い世代の育成に貢献する活動を続けてまいります。

谷端美穂

※写真掲載は生徒様からの了承を得てアップさせていただきました。

「夏休み 親子産業観光バスツアー」のご案内

富山県のものづくりを学ぶ「親子で体験!産業観光バスツアー」が8月8日に開催されます。
(主催:とやま産業観光推進協議会様  北日本新聞社様  協力:富山県商工会議所 様)

YKKセンターパーク、ほたるいかミュージアム、富山湾岸クルージングを回り、最後にタニハタで組子細工を製作するコースとなります。

組子細工 ワークショップ 組子スマホスタンド タニハタ

組子は親子でスマホスタンド(上写真 非売品)を製作していただきます。

募集人数は、親子20組40名
小学3~6年生のお子さんとその親または祖父母が参加条件となります。

夏休みの自由研究にすることもできます。ぜひお子様とご参加ください。

詳細 お申し込み等は北日本新聞サイトよりお願いいたします。

昨年は、富山県高岡市周辺の企業を中心に開催されました。  昨年の様子はこちらからご確認いただけます。

組子の製作体験(6月)

6月5日
近隣の小学校より2年生の生徒さん24名が工場見学にいらっしゃいました。「地域の企業を知ろう」という社会科の授業の一環でタニハタに来社されました。

この日は30度近い夏日でしたが皆さん終始元気いっぱいで、黄色い帽子と笑顔が思わず目を細めてしまうほど眩しかったです。

工場に入り早速組子の製作体験を行っていただきました。

今回は比較的簡単な文様「籠目」に挑戦です。

出来上がると「星みたいでかわいい~」と女の子たちにとても好評で、カメラを向けると皆さん自然に顔の横に組子を持ち、可愛らしいポーズをとってくれました。

製作体験が終わり、次は工場内の見学です。

「工場探検だ!!」「こんなところに大きな木がある!」と好奇心できらきらの目をして社長の後についていきます。

作業場では、職人の鉋削りを見学しました。

「やってみたい人はいますか?」という職人の声がけに全員が手をあげて思わず笑ってしまう場面もありました。

時間の関係で全員に挑戦してもらうことはできませんでしたが、挑戦した子たちは二年生とは思えないほど、力強くとても上手に削っておられました。

後日、お礼のお手紙が届きました。

社員の休憩室に貼り、見る度に元気をもらっています。

工場見学は、子供たちの好奇心を育むだけでなく、ものづくりの過程を五感で体験できる機会です。

機械が作動している大きな音や木材の匂い、自分の手でものをつくることの喜び。これらは、テレビやYoutubeでは決して体感できません。

今後はタニハタの工場見学にきた子供たちに木材についてもっとたくさんのことを学んでもらえるよう、現在展示物・体験コーナーの拡充を計画しています。

子供たちが五感を使って組子という伝統工芸を知り、今ある自然に感謝し自分たちの未来について考えるきっかけになれば私たちも嬉しいです。

谷端美穂

「組子と数学の関係」情報ページを制作いたしました。

組子細工は、日本の伝統的な木工技術であり、その精密さと美しさは数学的な原理に深く根ざしています。
ここ数年の間にタニハタの組子細工を数学の教科書や高校入試問題、数学に関連したテレビ番組などで取り上げる事例がでてきました。

組子細工と数学の関係性、その奥深さについて一人でも多くの方に知っていただきたく、「組子と数学の関係」という情報ページを制作いたしました。

伝統工芸についてご興味のある方は、一度ご覧いただけますと幸いです。



組子製作動画「蜀江」アップしました

「蜀江」は中国の蜀の首都を流れる河で、この地域は良質の絹織物「蜀江綿」がもてはやされました。
「蜀江錦」には八角形と四角形をつないだ文様が豊富に織り出されており、この文様自体を「蜀江文様」と呼ぶようになりました。
日本最古の建築物・法隆寺伝来の宝物にも蜀江文様が見られ、日本とゆかりのある美しいデザインであり、組子文様としても人気のある柄のひとつです。

この蜀江組子の製作動画をアップいたしました。
https://www.youtube.com/watch?v=5hxHzELBgPU

※製作動画は定期的に発信していますので「組子細工」「木工技術」に興味のある方はチャンネル登録よろしくお願いいたします。

神代杉での組子製作につきまして

「神代杉」は地面の中に数千年埋まっていた杉です。
過去の火山噴火活動で地中または湖沼中に埋没し、奇跡的に腐敗しなかった貴重な木材。
長い時間をかけて変色した神々しいまでの黒褐色の木肌は見るだけで威厳を感じさせます。

タニハタで使用している神代杉は、秋田県の鳥海山から出土した2500年前のものになります。組子用の厳選された柾目材の部分になり大変希少価値の高いものです。(下写真)



神代杉はヒノキ以上に希少価値が高く、市場にはほとんど出回っておりません。特に色味の濃い「黒神代 柾目材」は日本で最も高価な木材と言えます。この木材で組子を製作すると重厚感のある味わい深い作品に仕上がります。

過去にはこの木材を使用して外資系ホテルへ納入させていただきました。

ホテル ザ・リッツ・カールトン東京様

    フォーシーズンズホテル 東京大手町 様

その他  タニハタオリジナルデザイン 麻の葉チラシシリーズ TAタイプ にも一部使用しております。



タニハタでは国産木材「神代杉」の素晴らしさを一人でも多くの方に知っていただきたく思っております。
かなり高額になり使いかたにも工夫が必要ですが、上質で洗練された空間に仕上げたいと思っている方はこの材料を一度ご検討ください。


    

数学と伝統木工技術「組子」が融合した高校入試問題



島根県の高校入試で、伝統木工技術「組子」を題材にした問題が出題されました。
その問題にはタニハタの「麻の葉組子」の写真も使用されています。

「組子」とは、木材を組み合わせて美しい模様を作り出す日本の伝統木工技術。
数学的な美しさと精密さが求められます。
組子に関する問題を解くには、組子のパターン・構造を理解していることが必要となります。


試験会場で頭を抱える生徒たち・・・一見すると、彼らはただ数学の問題を解いているようですが、実は組子職人のように精密な計算を行い、「組子」の文様を心の中で組み立てているのです。
数学が苦手な生徒も、「組子」の美しさに惹かれて問題を解こうとするかもしれません。

そしてこの問題を解くことが、単なる数学テストの点数を取るためではなく、日本の伝統文化を学び、創造性を育む機会になります。

もしかしたら、これがきっかけで、新たな組子職人が誕生するかもしれません。

このような問題が出題されたことは、私達伝統工芸を生業とするものにとって本当に嬉しく、ありがたい出来事でもあります。
島根県の教育委員会の皆様に感謝です。

検査問題

上記の写真が使用されました。

鉋の研修会を行いました

先日スウェーデンの学生さんを招いたご縁で木工作家の小松先生に鉋(かんな)の研修会を開いていただきました。

木工作家の小松研治先生は、東京芸術大学大学院美術研究科終了後、富山大学の産業工芸学科木材工芸の講師を経て、2017年富山大学名誉教授になられた方です。大学を退職後「木工房バイハンド」を立ち上げて作家活動をされています。
YouTubeでも鉋や大工道具に関する動画を発信されており、総アクセス数100万を超える人気サイトになっています。
まさにこの業界の宝のような御仁です。

研修開始前、最初にまず驚いたのはテーブルの上に所狭しと置かれた鉋や刃物、教材の数々。一つ一つが気持ちを込めて手入れされている様子が伝わってきました。

本当に素晴らしい。心がときめきます。

鉋の構造は鉋台と呼ばれる木部と、鉋身(かんなみ)や裏金(うらがね)と呼ばれる刃物の部分から成っており、シンプルな構造です。
それだけに使用する職人の気質が反映される道具でもあります。

0.1ミリにも満たないくらいに木材を均等に薄く削り出すには、常に道具の手入れをする必要があります。
先生からは、鋼の選択から台の仕込みに至るまで、そのスキルはもちろん、道具を使いこなすための職人としての心構えも教えていただきました。

タニハタの職人達は、自分の鉋や道具を持ち寄って普段疑問に思っていることをいろいろ聞いていました。

今回東京墨田区にある井上刃物さんも来社されました。
ここは「のこぎり」や「かんな」などの手道具を専門に販売する100年を超える大工道具の老舗で、全国からここの道具を買いに職人が集まってきます。
職人の道具の情報以外にもこの業界のいろいろな情報を持ち合わせている方で、業界に関する情報もたくさん教えていただきました。

道具一つをとっても、その背後には深い日本の建築文化と歴史があり、それを理解することで、私たちはより深くモノづくりに関わることができるのだとお二人のお話しから気づかせていただきました。

道具と向き合うことは、単に物を作ること以上の意味を持ち、職人としてのアイデンティティを形作る重要なことでもあります。
今後も美しい組子づくりの伝統を守り、次世代に繋げていくために、いろいろな方から学び続けたいと思います。

伝統建築ワークショップ 開催中

富山県高岡市の旧北陸道沿いの御馬出町、守山町、木舟町、小馬出町にかけての通りは高岡開町以来の商人町で、優れた土蔵造りの家々が立ち並び、重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。

その通り内にある「土蔵造りのまち資料館」管理者である東海裕慎さんから「伝統建築に理解を深めるワークショップを行いたい。土蔵造りの建物をモチーフにした組子の技法を使ったこまが作れないだろうか?」と1月にお話しをいただきました。

デザインは富山大芸術文化学部の渡邉雅志准教授が手がけており、3人で今回の組子コマの開発を行い、3月にワークショップ用のコマが完成しました。

4月28日により伝統建築ワークショップが始まっています。
30分ほどあれば組子のコマを作ることができます。

伝統工芸や古い建築物に興味のある方はぜひご参加ください。



詳細


組子の製作体験(4月)

4月3日
昨年に引き続き、スウェーデン王立リンショーピング大学の学生が来社されました。
今回も木工作家の小松研治先生にアテンドいただき、マルムステン家具デザイン学部の先生1名と学生9名に工場見学や組子製作体験を行っていただきました。

普段からものづくりをしている学生さんなので、組子体験も説明なしで完成されるかたが何名かいらっしゃいました。

学生の方に鉋でヒノキ材を削っていただきました。
均一な薄さの鉋屑ができて、弊社の職人も驚いていました。

最後は学生の皆さんと、弊社職人全員でスウェーデンのモノづくりについてのことや木材使用の考え方について意見交換会を行いました。

スウェーデンでは日本よりも環境に負荷をかけないモノづくりに力が入っており、学校の実習でも製造過程のすべてで炭素排出量の計測を行っているとのこと。また木材の節が入っている部分も、処分することなく全て使い切るということが重要になっています。

ヨーロッパの木工技術の考え方や環境問題に対する取り組みも大変参考になりました。
また学生の皆さんの積極的に学ぼうとする姿勢に我々もとても良い刺激を受けました。
今後もこういった機会を大切にしていきたいと思います。

西川

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4月8日 
インドネシアより 24名の方々が工場見学・製作体験に来社されました。

皆さん、組子の製作体験が始まると顔つきが変わり、中には職人顔負けの速さで三つ組手・竜胆・胡麻をあっという間に完成させてしまう方もいらっしゃいました。

自由参加の鉋体験では、「自分のほうが薄く長く削れる!」と皆さん次々に手を積極的に参加してくださりました。

薄く、長い鉋屑が出る度に拍手と歓声があがり盛り上がりました。


薄く削った鉋屑は自身が製作したミニ組子に通し、金メダルのように誇らしげに首から下げている方もいました。

「インドネシアには日本に似たような木彫りや織物・和紙等の伝統工芸があるが、組子のような技術は初めてみた」と職人が製作している姿を真剣に

見つめたくさんの質問をしてくださりました。

最近は海外からのお客様がいらっしゃる機会も増えたため、失礼のないよう事前にその国の風習や文化等を予習しています。

国も違えば当然日本にはないような文化・風習に驚くこともありますが、毎回思うのは組子を見つめてくださるその真剣な視線はどの国の方も同じです。そして私達に組子製品に対する新たな視点を提供してくださいます。

今後も様々な国の方々とのモノづくりを通じて、世界中の人々と繋がり、持続可能な未来を共に築いていきたいと思います。

谷端美穂

4月1日 能登半島地震から三ヶ月が経過しました

2024年4月1日。
タニハタでも今日から新しい年度がスタートいたします。
そして・・1月1日に発生した能登半島地震から今日でちょうど3ヶ月が経ちます。

富山市と能登半島(輪島)までの距離は直線距離で約80㎞。
1月1日はタニハタの工場のある富山市は震度5強を記録しました。
工場の備品や展示品などの破損、転倒などありましたが、水や電気関係のライフラインは比較的しっかりしており、能登半島ほどの大きな被害はありませんでした。

多くの取引先様から「工場は大丈夫だった?」とお見舞いの言葉やメールをいただきました。
人間目線で見ると「1月1日だけは勘弁して・・」という日になりますが、自然災害はそんなことはお構いなしに私達の暮らしに襲いかかってくる・・・普段から災害に備えておく必要性を痛感しました。

被災すると、多くの取引先様にもご心配、ご迷惑をおかけしてしまうことから社員達で防災意識を高く持ち、能登半島地震から少しずつ災害対策を行っています。

具体的には・・

1  五年間保管できる水を購入

今回の地震で大きな問題になったのが「水」。
富山は3000メートル級の山々に囲まれた県でその積もった雪を水源に豊富な「水」を使って水力発電が盛んに行われてきました。
大きな一級河川もあり、地下水も豊富なのですが、こんな地域でも地震が起きると水道管の破裂などで「断水状態」になってしまいます。

緊急の場合、社員達に1200リットル分(一人約50リットル)の飲み水が供給できるよう5年間保管できる水を購入しました。
(井戸水掘削も検討しています。)

2  取引データのバックアップシステムの導入

弊社は1996年のインターネット黎明期から業務のデジタル化を推進してまいりました。
富山オフィスでの業務データ(受注データやお客様との打ち合わせ・見積もりデータなど)は富山オフィス内のPCやサーバ内に保管しておりましたが、今回の地震で会社から離れた部分にもデータを置いておく必要を感じ、災害に備えた遠隔バックアップシステムを1月末に導入しました。

オフィスのPCやデータに被害が発生しても迅速にデータ復旧が可能になります。



3  当社独自の報告システムの導入

緊急時、20人以上いる社員に連絡するのは至難の業。。
そこで、緊急の場合でも会社から一斉送信(双方向)で全社員に連絡がとれる当社独自のシステムを構築しました。
(日報システムを災害対策用に改良)会社から社員、社員から会社、もちろん社員同士でも日時問わず連絡が取れますのでいざというとき安心です。
  

他 

電力について
水と同じくらいに電力などのエネルギーは、災害時重要になります。
当社では2011年の東日本大震災でおきたエネルギー危機からの教訓から2015年3月に太陽光パネルを設置し、2020年3月より自家消費型の発電も導入しております。(蓄電池も設置)
災害時に電力の供給がストップしても、工場内の機械やPCが少しでも稼働できるように対策を施しております。
(昨年導入した電気自動車2台も当社の太陽光発電のエネルギーを利用するようにしています。)

4月以降も少しずつ災害に備えて参りたいと思います。


●能登半島地震の支援につきまして

富山から能登半島は地理的に近いこともあり、災害の影響も受けた知人や取引先が多かったです。
当社なりの支援をさせていただきました。

寄付 支援

・石川県
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/suitou/gienkinr0601.html

・アジア子供の夢
https://www.asiadreamaid.com/post/blog_20240304

・谷川醸造様
以前、ネット販売の勉強会でご一緒させていただいた谷川醸造さんが被災されて蔵が全壊。
同じ伝統工芸を生業とするものとして、クラウドファンディングを通じて支援させていただきました。
https://camp-fire.jp/projects/view/738598

・物資支援
2月、七尾にあるお寺さんに行ってきました。工場で使用していた大型石油ストーブや灯油などを寄付させていただきました。

道中、和倉温泉街などを見て回りました。
建物や道路などかなり破損した様子で、心が痛みました。

復旧までまだ時間がかかると思いますが少しでも早く、美しい能登半島が元の姿を取り戻せるよう職人達とともに支援をしてまいりたいと思います。

組子の製作体験(3月)

3月28日 児童発達支援事業所 ライトブレイン様より 19名のお子様が工場見学・製作体験にいらっしゃいました。

ライトブレインさんでは、子ども一人ひとりの興味に着目し、「やってみたい!」と思えるスモールステップ(小さな目標)を用意し、「できたね!」「やったね!」など肯定的な言葉を伝える機会を増やして、自信の芽を育てていく取り組みをしていらっしゃるそうです。

組子の製作体験では、比較的簡単な「桝格子」を製作いただいたところ、皆さん手先が器用であっという間に完成したため、急遽「三つ組手」の製作体験も行っていただきました。

2種類の組子を手にニッコニコの皆さんを見て、こちらまで笑顔になりました。

これからも、地域の学校や施設様と連携を計りながら子供たちの「できた!」「たのしい!」の体験を増やし、少しでも子どもたちの健やかな成長につながれば私たちも嬉しいです。

谷端美穂

組子設置写真が届きました(8件)

2023年から今年一月に出荷した組子設置写真(8件)が当社に届きましたのでご紹介させていただきます。


●会計事務所様エントランス(東京)  Entrance to the accounting office

東京都の会計事務所様のエントランスに美術組子を納入させていただきました。

横幅6m、高さ2.4mのサイズを5分割にて製作しております。

東京の空に雲が大きく流れる様子をデザインしており、ヒノキと神代杉をふんだんに使用させていただきました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2354/



●⻘⼭さくら庵様(東京)   AOYAMA SAKURA AN

渋谷の隠れ家のような空間の中で、日本の四季を感じながら、洗練された料理が味わえる和食店「⻘⼭さくら庵」様。店名の由来になっています店舗前の「桜」をデザインした華やかな組子を設置させていただきました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2380/



●日本橋SANO様(東京)  Nihonbashi SANO

江戸文化の情緒あふれる東京人形町に2024年1月にオープンした和食店「日本橋SANO」様。

日本の吉祥文様11種を店内の天板や什器に使用し、ここで食事されたお客様に少しでも「福」がもたされるように・・・吉祥の願いが込められた空間になっております。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2347/



●鮨かねさか様(ロンドン)  Sushi Kanesaka

「45 パークレーン」はドーチェスター・コレクションに加盟のロンドンにある5つ星ホテル。

そのホテルに設置させていただいた組子デザインはイギリス・ロンドン中心部ウェストミンスターに位置するハイド・パーク内に存在する人工の池(サーペンタイン・レイク)に着想を得て、調和と静寂の美を表現しています。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2363/



●大和ハウス工業株式会社様 岡崎展示場(愛知県)  Okazaki Exhibition Hall, Daiwa House Industry Co.

大和ハウス工業株式会社様 岡崎展示場にタニハタの麻の葉組子(利休杉)を設置させていただきました。

ダークブラウンのインテリアと利休杉のシックな色調で上質な和の印象を作り出しました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2370/



●CHA-AN TEA ROOM 様(ニューヨーク)

NYで本格和風スイーツが食べれるカフェ「CHA-AN TEA ROOM」にタニハタの組子「麻の葉ちらし 桜ぼんぼり」を設置させていただきました。

自然光が入る窓に3枚並べて設置し、空間にリズミカルな和の雰囲気を醸し出しています。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2364/



●ココファン藤崎の杜様(熊本)  Cocofump Fuzisakinomori

学習塾などの教育サービスや出版物の発行を行っている学研ホールディングス傘下の「学研ココファン」様は老人ホーム・介護・福祉事業を手掛ける会社です。その会社が手がけた熊本市の高齢者住宅「ココファン藤崎の杜」のライブラリーにタニハタの麻の葉組子(利休杉)を設置させていただきました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2374/

●菓蔵SUZUKI様(静岡)  Kakura Suzuki

静岡県袋井市にある洋菓子屋「菓蔵スズキ」様にタニハタの組子 麻の葉柄を16枚設置していただきました。「菓蔵スズキ」様は静岡で生まれ育ったシェフがこだわりの地元産食材を使用し、地元の方に愛されているお店です。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2353/

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