タニハタブログ Blog

組子らんまを作る会社<タニハタ>の日々の出来事、その思いをブログで綴ります。

組子屋が中学生に伝えたかったこと

3月7日、富山市立堀川中学校で「働く人に学ぶ」という講座の講師を務めてまいりました。

富山市立堀川中学校は日本海に位置するすべての中学校で最も生徒数が多い公立中学校で、生徒数が1000人を超えるマンモス校です。
この学校の中で開催された講座は、「生徒たちが様々な職場の人々から仕事内容や社会人としての心構えを学ぶことを目的」として開催されました。

45分の講義を2回行い、「組子細工」についてはもちろん、「日本のモノづくりについて」「職人について」「日本の木材の現状」といったキーワードを盛り込んで生徒たちが飽きないように工夫してお話しさせていただきました。組子のワークショップも行い、組子技術やヒノキ無垢材の素晴らしさについても体感していただきました。

タニハタは国産木材を次世代に引き継ぐことを重要な役目と考えており、環境問題にも力を入れて取り組んでいます。組子製品の製造においては、日本のヒノキや杉材を積極的に活用し、CO2排出量を最小限に抑える取り組みを行っています。

なぜそういうことを行っているのか、現在抱えている問題は何かについてもお話しさせていただきました。

短い時間ではありましたが、生徒たちが自分達で考え、自分達の未来を考えながら新しい日本を切り開いてくれるように願っています。

最新鋭の組子加工機 ラジアルソー2台導入

組子細工製作で最も重要な機械が「NCラジアルソー」です。
木の桟のシャクリ(クデ)部分を正確にスピーディに切削してくれます。

今まで当社では7台保有していましたが、2~3年前より国内外のお客様から組子を納入するお話しを数多くいただき、昨年夏にNCラジアルソー2台を発注し、本日納入されました。

これで合計9台のラジアルソー(全自動)になり、今後の大型物件に備えます。



組子細工 ラジアルソー タニハタ


タニハタの仕事は手作業が多い伝統工芸の仕事ではありますが、「納期」を意識した生産体制の実現をめざしています。
早く、綺麗に、をモットーにこれからも新しいモノづくりを進めてまいります。

木材の競りに行ってきました。

久しぶりに木材の競りに行ってきました。
朝5時に車に乗り込み、9時30分に現地に到着。タニハタの工場がある富山県の隣には、長野県木曽地方や岐阜県東濃地方といった数百年続く有名な木材産地が多く存在しています。これらの場所は工場から日帰りで行ける場所にあるので本当に助かります。

組子細工 ヒノキ 競り

ちなみに、魚や果物などの食べ物に「旬」があるように、木材にも「旬」があります。
木は春から夏の温かい季節に水を地中から吸い上げ、ぐんぐん成長します。秋から冬の寒い時期には水の吸い上げが弱くなり、木材の保有水分が少ないため、カビや虫などの害虫も付きにくくなります。この時期に伐採した木材は耐久性や色つや、香りも良いと言われています。
上記の理由で秋から冬に切った木材が「旬」ということになります。

3月は、秋から冬にかけて切られた「旬」の良質な木材が並び、また製材会社なども決算時期ということで通常入荷しないような良材を頑張って出品してきます。


タニハタでも少しでも良い木材をお客様にお届けしたいという気持ちから、3月は必ず直接私が木材産地にまで出向き木材を競り落としてきます。
もちろん中には組子に向いていない木材も多いので、しっかり目利きして競り落とします。
競り落としたものは、半年~1年ほど天然乾燥させて組子の木材に使用します。

ヒノキ 国産木材 産地
こんなにたくさんのヒノキ材がありますが、組子の材料として使えるものはほんのわずかです。。

こういう手間がかかることを嫌がって、多くの木材加工業者は無垢木材から人工木材に切り替えていきました。本当の組子とは言えない「組子風」な製品も最近多く出回っていますが、私たちは木材の産地、品質にもこだわり、さらに工場内でも熟練の職人が選別して製品に仕上げてきます。
胸を張ってこれこそが日本の木材、伝統技術というものを残していきたいと思っています。

組子細工 材料 タニハタ

樹齢150年のヒノキも競り落としてきました。
木目が詰んで細かく、色艶も最高級のヒノキ材です。産地でもなかなかこういう木材は手に入りません。

昔からある木材産地のものは、木を伐採するだけでなく、山に苗木を植林し、間伐や手入れなどを行い、また次の伐採に向けて木を管理していきます。
気が遠くなるような手間ひまをかけて木材を作り上げていきます。
タニハタが国産木材にこだわるひとつには、こういうシステムを私たち川下の加工業者も意識していかないと有名産地であっても林業が立ちゆかなくなってしまう危機感があるからです。産地がないと当社も良質の木材が手に入らない状況になってしまいます。
海外産の木材や人工木材が、木工業界の主流を占めてしまった現在、少しでも多くの方に国産無垢材の良さを知っていただきたく思っております。
そして山で大切に育てられた木材、私たちも大切に使っていきたいと思います。  

谷端

組子の製作体験(2月)

今月は海外の旅行会社様の視察で2団体工場見学ありました。

2月7日には政府観光局様のアテンドでカナダ、アメリカ、イタリアの旅行会社様の高山・富山の視察ツアーで
タニハタにも足を運んでいただきました。

今回組子体験では竜胆の文様を組んでいただきました。
昔、竜胆の根茎を薬として用いていたこともあり長寿の願いが込められた文様であることをご説明すると
とても関心を持っていただき、竜胆の花の画像を検索して見てくださいました。


2月27日にはTourism Exchange Japan様のご紹介でアメリカの旅行会社様2名お越しいただきました。

今回の体験では三つ組手を組んでいただき職人が目の前で葉鉋を使い落した葉っぱで麻の葉のミニ組子を作っていただきました。

最近の海外からの観光需要の傾向として、お土産などを現地で購入するだけではなくその土地でしか経験できないことを
旅行の価値と感じる方が増えてきているそうです。
弊社は職人が直接組子体験で作り方のアドバイスやご説明をしているのですが、あまり職人と接することができる工場見学はないので
驚かれることが多くなりました。

今後も職人が身近に感じられる工場見学を続けていき、もっと組子や日本のものづくり、木材のすばらしさをたくさんの方々に
知っていただけたらと思っています。

西川

タニハタ組子 総合カタログ2024 発刊のお知らせ

タニハタの組子総合カタログが新しくなりました。
今回リニューアルのポイントは・・

1 麻の葉ちらしシリーズ 新たに18種のデザインが追加となりました。
 タニハタのオリジナル組子「麻の葉ちらしシリーズ18種」に新たに18種のデザインを追加
 合計36種のデザインから選んでいただけるようになりました。
 今まで通り金額はどのデザインを選ばれても同じ金額となります。お気軽にお好みのデザインをお選びください。

2 熟練の職人が木材を厳しく選別した「匠の国産木材」の販売開始
 「タニハタの組子に合わせて、ヒノキや杉材の良材を販売してほしい」というお声が多くなり、国産木材も販売することとなりました。
 業者の方にも満足していただけるよう厳選した木材のみを販売いたします。
 

3 利休杉の施工写真の追加
 タニハタ独自の技法で染め上げた自然発色木材「利休杉」。販売実績の増加に伴い施工写真も増えてきました。
 ダークブラウン調の空間にマッチします。国産杉材の可能性が広がっています。

4 組子価格の一部改定
 ・吉祥組子シリーズ 従来の「杉材 源平材」に代わり「吉野杉 赤身」の取り扱いとなりました。
 (従来の杉材 源平材の価格で吉野杉 赤身材を購入いただけるようになりました。)

 ・吉祥組子「桜柄」の価格が約10%アップとなりました。 他の文様の価格改定はありません。

新カタログの発送はすでに始まっています。

カタログのご請求は下記よりお願いします。

●組子総合カタログのご請求 個人用

電子カタログ
価格表


● 組子総合カタログのご請求 業者用(業者登録が必要となります。)



 

神代杉と木曽ヒノキ 入荷しました

神代杉(2500年前のもの 秋田県鳥海山産)と木曽ヒノキ(樹齢150年もの 建具用柾目材)入荷しました。
どちらも良材で弊社の美術組子などのオーダーメイド品に使用します。
希少価値が高い木材ですが、最近は5つ星ホテルなどの大口現場に使用されることも増えてきました。
事前に数量を確保しておく必要があり、競りに参加して少しずつ買い足しています。

組子用神代杉 タニハタ
神代杉
組子用木曽ヒノキ材 タニハタ
木曽ヒノキ 柾目建具材

これからも日本の誇る木材を組子製品に使用していきたいと思います。



2024年 年初のご挨拶とお知らせ

新しい年を迎えまして一言ご挨拶申し上げます。

すでにニュースで報道されていますように本年一月一日、私たちの工場があります北陸地方で大きな地震が発生いたしました。

一月一日夕方4時過ぎ、富山で震度5強の地震が発生、慌てて自宅の庭に飛び出し地震が収まるのを待ちました。
一時間後、自宅近くの工場に向かい工場建物、機械設備、製品に問題がないかの確認を行いました。

展示品や天板の破損などはありましたが、幸いなことに大きな被害はありませんでした。その後3日間余震が続きましたが、通常通り工場での生産活動が可能と判断し、ひとまず本日より2024年の営業をスタートしてまいります。


今回の震災で亡くなられた方に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された方に心よりお見舞いを申し上げます。

能登半島や氷見には美しい自然があり、世界に誇れる伝統文化がたくさんあります。少しでも早く、元の姿を取り戻せるよう、職人達とともに可能な限りの支援をしていく所存です。

また、取引先様より心配の声を国内外より多数いただき、本当に勇気づけられました。皆様には心より感謝いたします。ありがとうございました。

2024年も皆様の期待に応えられるよう、最善を尽くしていく所存です。

どうぞ本年も皆様よろしくお願いいたします。

2024年1月5日 代表取締役  谷端信夫

2023年を振り返って

2023年 今年を振り返るとタニハタでもいろいろなことがありました。今年の出来事をまとめてみました。

●海外との取り組みについて

2023年は海外販売の比率が大きく高まった年でした。
今年は全売上の中で海外販売の占める割合が20%を超える年となりました。コロナ禍になってからは一時10%にも満たない状況になっていましたが、新型コロナが落ち着いたこともあり、多くの海外企業から問い合わせや注文、訪問が急増しました。

具体的には、イギリスやアメリカ、オーストラリア、シンガポール、韓国、台湾など多方面の国から注文をいただきました。

また、8月には日本政府のSNS「Japan – The Government of Japan」にタニハタの組子が動画投稿され、国内外から多くの反応をいただきました。

最近は「KUMIKO」で海外の方と会話が通用することも多くなりました。組子細工が「寿司 Sushi」「盆栽 Bonsai」などのように世界に通じるワードになってきていると感じます。

組子の海外展開を始めてから20年以上経過していますが、やっとここまで来たか・・・という思いです。

また、海外からの工場見学者も増えて、多くの国の方と交流をすることが増えたのが印象的でした。

引き続き、組子細工の歴史や富山のモノづくりなどについて発信していきたいと思います。



スウェーデン王立リンショーピング大学の学生が来社
パリの家具職人が来社
アメリカのワシントンD.C.から6名のご家族が来社
台湾と中国からインバウンドツアー客が来社
「日韓親善交流事業」にて韓国の青年団30名が来社

海外でのイベントやプロジェクト



・海外から「自分の作った組子をみてほしい」というメールも増えて、今年だけでドイツ、アメリカ、イスラエル、エジプトなどから写真や動画を送ってこられました。

YouTubeなどの動画で(独学で)組子細工を作る方が増えて、素晴らしいと思います。
当社でも組子の技術動画を二カ国語で発信し、アクセスも増えています。来年も引き続き組子の技術動画を世界に発信してまいります。


・海外の富裕層旅行をターゲットとした、ハイエンド・クラフトツーリズム「DENTO」の事業に参加させていただくことになりました。
(2023年夏より)
発起人は元エルメス・インターナショナル副社長の齋藤峰明氏と株式会社日吉屋 西堀 耕太郎氏、日本の窓の代表 Avi Lugasi氏の3名。
「DENTO」では日本の伝統工芸の継承と地域の活性化を支援するネットワークを構築しています。



●組子製品について

製品では当社のオリジナル組子「麻の葉ちらしシリーズ」の販売が大きく伸びた年でもありました。来年2月には新しいデザインも発表する予定です。

また、当社のオリジナルの杉材「利休杉」の数字も伸びてきました。
杉材やヒノキ材の白木は、ダークな色調の空間に馴染まない色味でもあったのですが、利休杉は、塗装せずともダークブラウンの高級な空間にも馴染む木材でもあります。(下記写真)  来年は有名な施設への設置予定が見込まれており、当社の主力材料になっていくと思われます。

大和ハウス様 岡崎展示場 麻の葉 利休杉



ここ数年で若い組子職人が増えて、積極的に休日を利用して展示会や道具の産地、話題の建築など見にいくようになってくれたことが嬉しいことです。組子技術、木工技術がどんどん向上して、ぜひとも新しい組子の可能性を若い職人達で広げてもらいたいと思っています。



砥石 大工道具の産地へ
山形県ウッドデザイン賞作品 視察ツアーへ
ポケモン×工芸展へ
家具の五大産地のひとつ、北海道旭川市へ

その新しい組子のひとつ「立体組子」もニューヨークのデザイナーEric Clough氏と共同して発表させていただきました。美しい日本の文様が世界に広がっていくことは当社にとっても喜ばしいことでもあります。

●気候変動の取り組みついて

今年は、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が現在の地球の状況を「地球温暖化」から「地球沸騰化」になっている、と表現した年でした。 沸騰するような猛暑を体感したことで、世界で温室効果ガス削減の機運はますます高まってきました。
実際今年は日本全国、本当に暑い日が続いた年でもありました。
当社では2011年からエネルギー問題に取り組んでおり、今年もCO2を極力発生させない生産活動を進めてまいります

SDGs関連の勉強のために中学生、高校生の工場見学が増えました。若い感性でこの時代をどう捉えているのか・・情報交換しています。

社有車2台を日産の電気自動車(アリア、サクラ)に代えましたが、その環境に配慮した自動車「アリア」の内装には組子「籠目 捻組み目つぶし」の文様が使用されており、ノベルティ販売でも当社は今年協力させていただきました。

●その他

・2月、富山県の製造業の活性化に貢献した企業をたたえる「第8回富山県ものづくり大賞 優秀賞」に選ばれました。

・日本の木製家具の五大産地のひとつ、北海道旭川市「旭川市工芸センター」様で講演。組子の歴史や文様のこと、日本のものづくりについて講演させていただきました。

日本のものづくり企業として、来年も社員達と共に頑張っていく所存ですので、引き続きご支援いただければ幸いです。
どうぞ皆様よろしくお願い致します。



最後に・・・
先日、翻訳家の戸田奈津子さんら映画関係者の方が来社。組子のワークショップも体験していかれました。
ハリウッド映画のお話しなど映画好きな職人が多いので大変盛り上がりました。
来年も時間が許す限り、ワークショップを行って行きたいと思います。皆様に感謝です。    谷端信夫






組子動画「曲木」アップしました。

組子文様は比較的直線の意匠が多いのですが、桟を曲げて組み付けする意匠、技法も存在します。
椅子などのように広葉樹の固い木を時間をかけてじっくり蒸気で曲げる技法と違い、薄い桟に切れ込みを入れて曲げる技法、曲線の型枠に薄い突き板を貼り合わせてR枠を作る技法などで曲線枠を作り出します。

今回は、薄い木桟に職人が切れ込みを入れて曲げる技法をYouTubeにアップしました。
https://www.youtube.com/watch?v=IQwxZ_YHQf0

文様は菊文様、曲げ香図、水波を紹介しています。

タニハタ 組子動画 曲木

少しずつではありますが、タニハタでは組子の伝統技術を動画で発信しています。

ひのき材 ホワイトペレットの販売につきまして

タニハタでは、組子加工に伴い、そこから発生するオガクズを小さな木のつぶに圧縮加工(ペレット化)する機械「ペレタイザー」を2020年秋に導入いたしました。

富山の冬は寒く、エアコンでは間に合いませんので、石油ストーブで暖を取る、というのがあたりまえでしたが、このペレタイザーとペレットストーブの組み合わせで、昨年の冬は石油ストーブを一切使用しませんでした。

ペレット燃焼時に出る二酸化炭素は、木が成長する際に吸収した分の二酸化炭素なので、 石油のように大気中の二酸化炭素を増加させることがない脱炭素社会にマッチしたバイオマス燃料です。

暑い時期に少しずつ貯めた「ペレット」をこれからの寒い季節にペレットストーブの燃料として使用していきます。

このひのき材と杉材の良い部分だけを集めたペレットですが、まだ少し在庫があります。
今年の冬も販売いたします。

詳しくは下記をご覧ください。
タニハタ ヒノキ材ペレットの販売につきまして

ひのき 杉 ホワイトペレット 販売
不純物の少ない「ホワイトペレット」を製造しています。 主原料は組子用のひのき材と杉材となります。
ペレットストーブ用燃料 販売 ペレット
工場の中には、ペレットストーブが8台あります。石油ストーブは一切使用していません。
ペレット 燃料 販売 安い
1袋=10キロ 
ペレット まとめ買い 富山県
10キロ入の袋が35袋入った状態でお届けします。
ペレタイザー 工場
工場の中にペレットを作る機械「ペレタイザー」を2020年導入しました。

組子の製作体験(11月)

11月、東京都から2団体、海外インバウンドのツアーで2団体、計4団体(合計75名)のお客様に来社いただきました。
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11月7日、東京の明星中学校2年生の生徒さん(28名)がタニハタの工場を訪れ、組子細工のワークショップに参加していただきました。
来年の組子新製品40点も見ていただき、生徒さんからは、新鮮な視点と率直な意見が寄せられ、非常に有益な時間となりました。

明星中学校2年生 組子細工ワークショップ タニハタ
明星中学校2年生 組子細工ワークショップ タニハタ 工場見学
明星中学校2年生 組子細工ワークショップ タニハタ マーケティング活動
麻の葉ちらしシリーズ新作についてのご意見をたくさんいただきました。


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11月10日は東京都立足立西高等学校の生徒さん24名が来社されました。

東京都立足立西高等学校 組子細工 製作体験

工場に入ってすぐ組子を見て生徒さんがすごい!と何度も言ってくださっていたのが印象的でした。

少し苦戦していた生徒さんに「お手伝いしましょうか?」と聞いてみたのですが、「自分の力で完成させたい」と言って、やる気に満ち溢れた様子で組子製作をしておられました。

東京都立足立西高等学校 組子細工 製作体験 見学


学生さんが工場に展示している組子や職人仕事に興味を持っていただき、自ら写真撮影をされる姿をみると本当に嬉しくなります。

東京都立足立西高等学校 組子細工 製作体験 写真撮影

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11月21日は台湾からインバウンドのツアーで12名の方が工場に来社されました。

工場内では、職人に直接いろいろな質問が飛び交い、とても日本のモノづくりに興味をお持ちの様子でした。


タニハタのベテラン職人 高島(76歳)は大人気でした。
一緒に記念撮影をしてほしい、とたくさんの方から声がかかりました。
神懸かった感じになってきました。

「100歳まで組子職人を続けていきたい!」と高島の意気込みを聞くと台湾の皆さんから大きな拍手があがりました。

今日は天気も良く、二階の窓から見える夕日を浴びた立山連峰を見て美しいと言っていただき富山県民としてとても誇らしく思いました。
台湾からの組子のお問い合わせをいただく機会が多いのも組子や日本の風景を美しいと思う気持ちに通ずるところがあるのではないかと感じました。

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11月22日
日本政府観光局の富山県視察プロジェクトとして中国の旅行会社様が参加されました。

大工道具を使っての作業に関心を持たれていました。

日本と中国。 「言葉」は通じなくてもモノづくりを通して「気持ち」は通じます。
組子細工で皆さんが笑顔になるとこの仕事のやりがいを感じます。

年末になり、工程がかなり詰まってきましたので団体見学は年内これで最後になりました。
来年も日本の伝統工芸「組子」の素晴らしさ、モノづくりの新たな可能性をいろいろな方に発信していきたいと思います。感謝です。

「天然砥石」と「大工道具」の産地へ

天然砥石と大工道具の産地へ

稲毛 梓


タニハタの職人3人で京都の砥石屋さんと、兵庫県三木市で行われた三木金物まつりへ行ってきました。

1日目は京都府亀岡市に店を構える砥取家(ととりや)様へ天然砥石を見に行きました。
ちなみに鉋(かんな)などの刃物を研磨する砥石(といし)には「人造砥石」と、自然物から作成された「天然砥石」があります。
天然砥石の産地と言えば昔から京都ということですが、数多くあった砥石山のほとんどが閉山し、本格的に採掘を行っているのは砥取家の土橋さんだけとなってしまいました。
砥取家さんの大きな特徴は数ある砥石全てを試し砥ぎさせてもらうことができ、自分に合った砥石を選ぶことができます。

私も実際にいくつもの石を研がせてもらい、研磨力、砥ぎ感の違いを体験しました。

組子職人 タニハタ 組木
砥石 鉋 木工

石によって違いがあることを知識では理解していましたが、違いを体験して感じた感動は忘れられません。とても興奮しました。
いろいろ砥石を使用してみて、自分に合った石を購入させていただきました。


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2日目は兵庫県三木市で行われた三木金物まつりに行き、大工道具を見てきました。

現地に着いてみて予想以上に出店数が多く県を上げた一大イベントなのだと感じました。


行く前は凄腕の職人さんが沢山いるのだと思っていましたが、実際は家族連れや外国人の方も多く見られました。出品されていた製品も大工道具以外にコテ、包丁、鋏、チップソーなど金物全般から、金物や道具に関係するものまで多く置いてありました。

鉋の販売

道の駅や高速道路のサービスエリアにも大工道具を販売する店があり、「金物の町」の雰囲気がとても印象的でした。

日本で最初の金物のまちと言われる三木市ですが、その起源は、五世紀の中頃から始まっており、朝鮮半島にあった百済の王子「恵」が日本に亡命してきた時に連れてきた技術集団がこの三木の地で金物を作ったことが始まりと言われています。

今では新潟の三条と並んで日本を代表する金物の地と言われています。
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今回、私は現地の方達の声を聞いて印象に残った言葉があります。

「若い人が興味を持って見に来てくれることが本当に嬉しい」という言葉でした。

職人の使う道具が「手道具」から「電動工具」「木工機械」に変わってしまい、手道具を使いこなす職人が減ってきています。

そんな中、昔ながらの手道具を今でも守り続けてくださる職人さんがいることは私達にとっても大変心強いことですし、とても大切な存在だと言えます。その想いが詰まった道具を使う一人の職人として、道具に恥じぬ仕事をタニハタで続けていきたいと思いました。



※翌週、富山の隣の糸魚川市で「鉋けずり大会」があり、2日間行ってきました。
砥石や鉋も重要ですが、それらを使いこなす職人技術も重要です。
日本中からたくさんの職人達が集まっており、素晴らしい木工技術を見ることができました。
職人として心が高鳴る一週間でした。



ニューヨーク デザイン研修に参加

NYの空に思いを馳せて ― 組子の可能性

西川 万喜子
谷端 美穂



10月14日(土)〜10月21日(土)の日程でニューヨークに出張に行ってきました。

目的は、ニューヨークのお客様訪問、組子細工の現場設置確認、および世界最先端のアートやデザイン、建築を学ぶことで当社の組子デザインに生かすことでもあります。

初日と最終日の移動日を除いては気持ちの良い秋晴れの日が続きました。

ブルックリン橋。
茶色の鋼鉄が大空に映え、橋自体が美術館や建築愛好家の夢を形作っているようで、この鋼鉄のなんともいえない美しさがとても気に入りました。
映画「ニューヨークの恋人」「アメージング・スパイダーマン2」など映画や文学に登場する有名な場所です。

この後、212boxのデザイナー Eric Clough氏にお会いしました。

オフィスに足を踏み入れると、目に飛び込んできたのは麻文様の立体組子のチェアでした。
NYの整然と並ぶビル群の背景に立体組子が融合してデザインオブジェとして成立し、イメージしていた何倍も美しく感じました。

エリック社長は、お話の中で立体組子の様々な構想を語ってくださいました。
打ち合わせを進めていくと組子を使った彼のアイディアとこれから始まるプロジェクトを、すらすらと手品のように私達に見せてくれました。

彼は組子の形や色を自由に変えて、空間に合わせて作品をデザインします。
タニハタではまだ製作したことがないような加工や組み立てが多く、実現のためにはたくさんの検証が必要だということを痛感しました。

そして彼がデザインしタニハタで製作した立体組子の納入先の会社にアポイントを取っていただき、実際に見に行くことができました。

場所はロックフェラーセンター。
クリスマス時期になるとクリスマスツリーの点灯場面が毎年ニュースで放映される場所です。
このビルの中に設置された組子を見に行ってきました。

個人スペースとして利用する空間に納入されていました。

スペース内に入ると、立体組子の表面の凹凸がまるで呼吸しているかのようで何とも言えない安心感に包まれました。

平面的なデザインとは異なり存在感を感じさせ、模様が生き生きとしており、まるで組子自体が生命を持っているかのようでした。

案内してくださった社員のロージーさんもとても素敵な組子で本当に気に入っていると言ってくださっていました。

翌日、IPPIN PROJECT様を訪問しました。

オフィスはブルックリンの商業施設内にある1ブースで入り口側にはセレクトショップがあり、奥にオフィススペースがあります。

看板に組子が設置されていました。

IPPIN PROJECT /CRAFITS Inc. 代表の金子様にはニューヨークの代理店として、アメリカでの組子販売を行っていただいております。
(2014年から取引させていただいており、もうすぐ10年。。)

タニハタ組子もたくさん展示していただいており、NYのお客様からお問い合わせいただいた際にはこの場所をお知らせしています。

彼の熱意と尽力がなければ、今のように組子がニューヨークに普及することはありませんでした。心から感謝です。

四人で記念撮影

昨年ニューヨークに納入した日本食レストラン”酒蔵”様にも行ってきました。

設置された施工写真を何度も見ましたが、実際に納入した組子を間近で見ると本当に感動しました。
組子の後ろにある照明はかなりこだわって施工していただいたそうで、組子の裏側に当たる照明と組子の下からはみ出る明るさのバランス実験を繰り返し、かなり時間をかけて設置されたと聞きました。
そんな現場でのこだわりのお陰で組子がこんなに美しく輝いているのかと感心し、その熱意に心から感謝しました。



モルガンライブラリーを訪れました。 
モルガンライブラリーは、1906年に銀行家で美術コレクターのピアポント・モーガンによって建設されたこの建物は彼の膨大な美術、文学、歴史的なコレクションを収めるために設立されその贅沢な建築と内装で知られています。
部屋は赤い壁紙や木製の本棚、大きな暖炉などで豪華に飾られており、当時の雰囲気を感じることができました。特に印象的だったのは、天井が高くドーム型になっている円形の広間です。
ここは元々モルガンの書斎だった場所で、壁面には彼が収集した貴重な書物や絵画が並んでいます。モルガン・ライブラリーは、建築や装飾、展示品などのすべてが美しく調和しており、一つの芸術作品でした。

<メトロポリタン美術館><MOMA 美術館><グランドセントラル駅><9.11メモリアル>・・・
いろいろ施設を見学し、圧倒された5日間でした。

NYの町は富山での生活では見ることのできないようなデザイン・アートであふれ、わたしたちはただただ子供のように感動し続けました。

五感をフルに使い、全身を使ってNYを堪能し毎日クタクタに疲れていましたが、感動で目が冴え睡眠時間が半分になるほど感情の琴線が張っていた一週間でした。

NYのたくさんのデザインや刺激的な環境に触れた後、セントパトリック教会の静謐な雰囲気は、わたしたちの少し疲れた心を癒してくれました。

NYの広大な空の下での経験は、富山での生活の中で自分がどれほど小さな考えにとどまっていたかを気づかせてくれました。

もの、景色、人々、NYでの様々な出会いが、私たちに組子の無限の可能性を教えてくれたような気がします。

今回の経験を元に、タニハタの新しい組子づくりに生かしていきたいと思います。

<ミニ組子 麻の葉文様> プレゼントキャンペーン 好評につき延長いたします。

タニハタ大阪ショールームオープン3周年を記念して6月から開催していました「麻の葉組子プレゼントキャンペーン」、好評につき12月25日まで延長しております。



大阪ショールーム、東京ショールーム、富山本社にお立ち寄りいただいたお客様に(個人、法人問わず)タニハタのミニ組子(麻の葉)を無償でご提供させていただきます。プレゼントご希望の方は必ずショールーム見学後、お店のスタッフに「組子プレゼントキャンペーンに参加したい」とお声がけください。
(組子カタログもご希望の方は合わせてご請求ください。)
タニハタ組子の品質、材料選別のこだわりをご確認いただければと存じます。

タニハタ ミニ組子 麻の葉

数量限定につきプレゼントの条件は下記になります。

1 簡単なアンケートにお答えいただくこと。(所要時間1~2分ほど)
2 一世帯1個のみプレゼント

尚、2024年3月までに組子製品を購入される個人の方でカタログのご請求をいただいた方にも差し上げております。
(サンプルをご希望の方のみとなります。)

 

タニハタの組子製品の購入を検討されている方はぜひこの機会をご利用ください。(キャンペーンは2023年12月25日まで行っております。)

 

オープン4年目を迎えたタニハタ大阪ショールーム。お気軽にお立ち寄りください。
ショールーム住所はこちら

名古屋 日本木工機械展2023へ

名古屋の<ポートメッセなごや>で開催中の日本木工機械展2023に行ってきました。
前回はコロナ禍の開催で少し寂しい感じでしたが、今回は朝からかなり人が集まっており大変賑やかな印象でした。

前回は、NCルータなどの大型機械ばかりの印象でしたが、今回はクラフト・工芸作家向けの小型機械や手頃な価格のレーザーマシンやルータマシン、小型のロボットアームなどたくさんの小型機械が出品されており、うちのような組子屋としてもかなり見応えがある展示内容だったです。いくつか欲しい機械や工具も見つかりました。
次回はぜひ職人達を連れてきたいと思います。

最新の切削機械に関しては「木工業界も来るところまで来たなぁ」という印象。
今年になって大手の家具工場を見学したり、職人の方とお話しをする機会が多くなり、
「木工業界は、こんな風にどんどん大型化しハイテク化していくべき業界なんだろうか?」とも考えます。
林業向けの機械もどんどん進化していってほしいなぁ、と最近感じます。
(無人で木を切って運搬できるシステムとか)

どんなに加工機が進化しても、手業へのこだわりは大切に・・・タニハタも「工芸の工業化」を進めていきたいと思います。

組子の製作体験(10月)

10月4日、富山市立広田小学校5年生の皆さんが来社されました。
午前中2回に分けて来社され、全員で54名の参加となりました。

職人が実際に葉っぱ落としをしているところを見ていただきました。
皆さん本当に真剣に説明を聞いてくれていました。

体験内容は胡麻柄のミニ組子を一から組んでいただいています。
初めて組むと大人の方でも難しい文様ですが、先に組めた子が友達に教えてあげたりと
和気藹々とした雰囲気で体験されていました。

木材を削った際に出たかんなくずを配るとみなさん嬉しそうに持ち帰っておられました。
弊社では組子サンプルをお送りする際に緩衝材として同梱して使用しています。

地元の小学校ということもあり、工場まで元気に歩いて来社されました。
地元の方々と関わりを持てることは弊社としても大変幸せなことだと思います。
後日工場見学の感想のお手紙をいただきましたので、下記に添付いたします。
嬉しいお言葉ばかりで社員一同励まされるばかりです。

広田小学校様 感想お手紙

広田小学校ブログ

西川

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家具の五大産地のひとつ、北海道旭川市へ

旭川出張レポート

下屋敷卓也



日本の木製家具の五大産地のひとつ、北海道旭川市に社長と行ってきました。

旭川駅を降りると、駅の内装に北海道産のタモ材がふんだんに使われており、木材豊富な町であることが一目でわかりました。壁には工事に対して寄付した人たちの名前がレーザーで刻まれており、いろいろな人の思いが込められた駅舎なんだ・・と着いた早々感銘をうけました。(駅のスタッフに聞くと一万人の名前が刻まれているそうです。)

旭川駅 木製

すごい数の板(名前入)です。

社名板 旭川駅

以前、この壁を見られた富山商工会議所の方から同じような社名板を製作してほしい、と組子で製作させていただいたのを思い出しました。

「家具の産地に来たぞ!」と着いた早々気分が高揚しました。



◆北海道立北の森づくり専門学院

我々組子屋は国産木材がないと仕事が成り立ちません。

しかし、国内の林業は若い人がなかなか入ってこない、入っても続かない、という状況を聞くことが多くなり、「これからの日本の林業、木工はどうなるのだろう・・」と私自身考えることが増えました。

その答えを見つけるために今回、北海道立の林業の専門学校「北海道立北の森づくり専門学院」にお邪魔しました。

北海道立北の森づくり専門学院
北海道立北の森づくり専門学院 看板

ここの学校は2020年4月開校で、まだ新しい学校です。

ここの入学資格は道内の林業関連企業の就業を希望すること、高校卒の同等の学力がある40歳以下の人だそうです。

(卒業したら北海道以外の場所で就職はNGだそうです。)

授業の2/3は実習の時間で、森林調査、苗木づくり、植え付け、チェーンソーでの切削加工、林業機械、木材加工などあらゆる実習を行い、即戦力となるような学習内容になっています。卒業までに15の資格を取得可能とのこと。素晴らしい。

これだけ実習の多い林業の学校は全国的にも珍しいとのことでした。

また、スノーモービルやスキーなどで雪山をすべる訓練からドローン実習、重機のシミュレーター実習もあり、若い人が少しでも林業に関心を持つような学習内容、施設になっているのが大変素晴らしいと思いました。

北海道立北の森づくり専門学院 エントランス
北海道立北の森づくり専門学院 入り口

チェーンソーで製作された熊の置物。 入り口でお出迎えしてくれました。

林業 専門学校

チェーンソー実習する場所です。暑い日はこの大きな傘で日陰をつくるそうです。

林業専門学校
たくさんのチェーンソー


釣りやサッカーなど普通の学校と同じようなサークル活動も充実しており、「林業」という少し重いイメージを無くそうしようという姿勢が感じられました。また学生は、1人1台タブレットを配布され、これからのデジタルでの職場環境を意識した学習方法がとられていました。



学校の理念が「100年先の風景(もり)をつくろう。」



林業の人手不足の中、こういった設備の整った学校を作ることにより、道内の林業の人材を確保し、100年先へとつなげていく取り組みはとても大切だと感じました。

バイオマスボイラー

北海道らしく木材の端材を使って暖房します。

北海道立北の森づくり専門学院 授業内容

タブレットを使っての勉強

北海道立北の森づくり専門学院 重機のシミュレーター実習

重機のシュミレーター。ゲーム感覚で操作できます。

重機のシミュレーター実習 座学

◆旭川デザインセンター

旭川の家具、クラフトメーカー30社の製品が、ここ1箇所で見られるショールームになっており、製品の購入もできる施設になっています。

旭川家具の歴史は古く、明治時代中期の陸軍第七師団設置により、多くの建築・建具職人が移住してきたことをきっかけとしています。

旭川の家具は、北海道の豊富な森林資源と優れた技術力を背景に、国内はもとより世界に知られるブランドに成長しました。

国際家具デザインフェア旭川(IFDA)や旭川デザインウィークの開催など、旭川のものづくりとデザインを世界に発信する様々な取組を発信されています。

旭川デザインセンター

旭川デザインセンター 建物外観

旭川デザインセンター 展示室

また、この施設はユネスコのデザイン都市に認定されており、旭川の産業観光拠点として家具の歴史やものづくりについて学ぶことができるミュージアム、家具づくりなどのワークショップも併設されています。

施設の中は多くの家具が展示されており、大変見ごたえがありました。

特に山口智大さんの家具は技術の高さとデザインの良さ両方兼ね備えたもので、技能五輪全国大会でも2回金賞を取っていて素晴らしい職人だと思いました。

同じ木工職人として私ももっと高みをめざしたいと思いました。

旭川デザインセンター ワークショップ
廃材利用
廃材を使ってのワークショップ。いろいろ工夫されています。

◆講習会 旭川市工芸センター

工芸センターの中には家具、木材の実験用機械がたくさんあり、ホゾや接着剤の強度実験、含水率の計測、椅子の強度を調べる試験用の機械(座面と背もたれ同時に圧をかける試験)など見慣れない試験機械をたくさん見せていただきました。

私達が施設内を見学していると「技能五輪」に参加する若い職人達が、五人くらい集まっており、それぞれ勤めている会社が終業してからこの場所に来たとのことでした。

(技能五輪とは、23歳以下の青年技能者が技能レベル日本一を競う大会です)

この時点で18時を過ぎていましたが、ここから夜遅くまで木工技術について勉強するとのこと。

それらの若い職人を支える工芸センターのスタッフの方々の仕事ぶりや、若い職人達への熱いサポートを見せていただき、旭川が木工の町と言われている理由を心から理解しました。また、羨ましくも感じました。
そしてこの場所が日本の木工技術を磨く場になっていることにとても感動いたしました。

●講習会

6月に旭川市工芸センター様から「旭川の職人が集まる勉強会でタニハタの組子細工について話していただきたい」という依頼がありました。私たちは組子屋であり、「私たちの話しが役に立つのだろうか?」と少々戸惑いました。しかし、木工の聖地とも言えるその場所を訪れてみたいという思いから、予定を組ませていただきました。

タニハタ 旭川講演 組子細工

勉強会では、組子や富山の歴史、タニハタの組子の特長などについて約1時間30分間話しました。参加者は家具屋さんの職人など20~30代の若い方が多く、講演後の質問の内容などから高い仕事への意識を感じました。

タニハタ 旭川講演 組子細工 組子ワークショップ

組子のワークショップも行いました。私たちの話が皆さんのビジネスに少しでも役立てば幸いです。




<木工への熱意> 私自身も忘れないように・・ そんな決意を胸に旭川を後にしました。

私たちも、今回の出張をきっかけにさらなるステップアップを目指します。
関係者の皆様、この機会を与えていただきありがとうございました。
※講演に関するアンケート結果もいただきました。

下屋敷卓也

山形県ウッドデザイン賞作品 視察ツアーに参加

8月30日、31日の二日間に渡り、ウッドデザイン協会様主催の「山形県ウッドデザイン賞作品視察ツアー」にタニハタの職人2名が参加させていただきました。

一般社団法人日本ウッドデザイン協会は、木を活用した社会課題の解決をめざし、木の調査、研究、開発、事業創造、普及及び啓発する機関として2021年11月設立されました。
建築家の隈研吾氏が会長を務めており、株式会社タニハタも2021年から会員になっております。


●シェルター様本社

シェルター様本社
シェルター様本社 詳細

最初の見学先としてシェルター様本社様の方へ見学させていただきました。

まず出迎えてくれたのが、シェルター本社前にあります大型のパビリオン Global Bowl(グローバルボール)。

直径6.8mという圧巻のサイズ感でシェルター様の加工技術、接合技術の高さを象徴するかのような工芸品のようなパビリオン。これだけのサイズ感で、曲線的な美しさと耐久性を兼ね備えるのはとても大変だったと思います。

建物内で会長様のお話を聞かせていただきました。

木に対してかなり熱い情熱を持っておられ、「木造建築で世界に誇れる日本にしていこう!」ということを皆に呼びかけ、最後には握手までさせていただきました。

ほかにも話の中で出てきた接合金物工法「KES構法」や鉄やコンクリートと同等の耐火性能を持つ「COOL WOOD」、自在な曲げ、削り出しのデザイン「FREE WOOD」などシェルター様の高度な技術についていろいろなお話をいただきました。建設や建築のノウハウを知っている方のお話しを直接聞くことは職人として本当に刺激をうけます。

●シェルターインクルーシブプレイス・コパル

シェルターインクルーシブプレイス・コパル 山形
シェルターインクルーシブプレイス・コパル 室内

続いて見させていただいたのが、シェルター様が主となって建設した児童遊戯施設の「copal(コパル)」

ここは2023年日本建築学会賞を受賞しており、空間内は緩やかな曲線の連続で生み出された非常に気持ちのいい空間でした。子供心をうまくくすぐるような、子供たちが自らどんな遊びをしようかと考えてしまうような、そんな遊び心いっぱいの施設。

月平均1万5千人ほど遊びに来られるそうなのですが、子供同士の衝突の怪我や事故等は未だゼロ。なんでも野山での遊びを思わせるこの施設は子供たちの危険察知能力も向上させるとか…。

管理されている従業員の方々も毎日10名程いらっしゃるようで、よく見ておられるのだと思います。

子供は楽しく遊べ、大人はゆったり楽しめる。そんな素晴らしい空間でした。



●天童木工様

天童木工様
天童木工様工場見学

次に天童木工様へ伺いました。

成形合板技術を主力とする家具メーカー。中でも目に付くのは、曲線的な美しさを持つ椅子「バタフライスツール」(タニハタにも一脚置いています)。
作り方を一言で説明すると・・型で曲線の成形合板を作り、二枚を合わせて金具で固定させる、というシンプルなもの。しかし、この薄い板で大人の体重を支えるこの美しいデザインは「デザイン」と「木工技術」の極限の製品と思います。

実際に工場の中を見学させていただきましたが、成形合板を得意とする天童木工様はやはりプレス機の数が多いのが印象的でした。

受注に関してですが、ほぼ国内からの受注だけで賄っているとのこと。それもオーダーメイドが半数以上を占めるそうで、家具といえば規格品を大量に生産しているイメージがあったのでとても意外でした。

また、工場の外では暴露試験を行っており、屋外にむき出しの状態で配置されている椅子等の劣化具合や強度を定期的に確認されているとのこと。人の目に触れるところでそういった試験をすることで、購入するお客さんもより信頼して選べると思いました。とても良い取り組みだと感じました。

家具と組子、作っているものは違えど木工技術として参考になるところはたくさんありました。

●白鷹町まちづくり複合施設

白鷹町まちづくり複合施設

二日目の朝、最初に向かったのは白鷹町まちづくり複合施設。地域活性、地域林業復興、木材資源循環の起点となる施設だそう。

この建物は令和二年度木材利用優良施設コンクール 内閣総理大臣賞受賞という素晴らしい施設で、基本は町内産の杉から作られた構造材、造作材等から建てられ、建物内には木の良い香りがしました。また、町内産の木材を使用することで地域経済、木材産業の活性化につながります。

エントランス、待合スペースに図書館等、内装の全てが非常にスッキリとした、それでいて杉の統一感があり温かみもある施設。さらにこの施設は町民と意見交換を行い、町産の杉材を使用し、地元の製材所、乾燥センターでと町が一体となって作られていて私はただただ関心するばかりでした。

他にも端材として出た木チップをエネルギー源として役場内に暖房をボイラーから送る等、環境面にも配慮され、持続可能な地域産業の活性化、好循環に繋げています。町民に愛されているのはもちろん、他の自治体からも毎日のように見学に来られるそうです。



●おきたま木材乾燥センター

おきたま木材乾燥センター

次いでおきたま木材乾燥センター。置賜地域の林業発展や地元産の活用のために地元の製材会社や建設会社の出資によって設立された木材乾燥施設。JAS機械等級区分製材(ヤング係数や含水率を機械計測して区分されたもの)の認定を受けたJAS認定工場、その製材の様子を見学させていただきました。

入口に見えたのが私も仕事中によく使っているクロスカットソー。しかし建材や構造材を扱うだけあって非常に長いものでした。

その奥にあるのがマルチ自動四面カンナ盤というここでの製材のメインとなる機械。実際に動いているところを見学させていただくと、左右の円柱状の刃物、奥の両面自動の計四面のプレーナーを通り、さらに機械に通した出口には高周波で計測された材料の含水率やヤング係数等がモニターに表示されるという機械。

組子用の機械は小さなものが多いので、「こんな機械があるのか…」と感心しましたし、木工機械の技術もこれだけ進んでいるんだと、他の工場を見ることでしか気付けないことも感じさせていただきました。

この機械は建材を製材用途で作られたものだと思うので精度面はある程度大雑把なところがあると思いますが、将来的には四軸からなる0.01まで精度が出せる機械。こんなものが出てきたら組子を製作する側としてはとても魅力的だと思います。

おきたま木材乾燥センターを通して地域の企業間の連携や協力体制の重要性を再認識し、地域を支えるためには地元の企業や関係者が一丸となって取り組むことが大変重要であると感じました。



●シェルターなんようホール

シェルターなんようホール
シェルターなんようホール 内装

続いて見学させていただいたのはシェルターなんようホール。世界最大の木造コンサートホールとしてギネスに認定されているホールです。

前日に見学したシェルター様の接合金物工法である「KES構法」や「COOL WOOD」で非常に高い耐震性、耐火性を持つそうです。

エントランスに入ると木の香りがし、周りを見渡すと館内全体に木がふんだんに使われているのがわかります。

エントランスの中心を起点に八方向八本の大きな柱があり、それぞれの柱に山の名前が書いてあります。なんでも中心をこのホールに見立てて八方角それぞれにある柱は山形の名山という地図のような造り。これだけでも木に対するこだわりなどが伝わってきます。

大ホールの中に入らせていただきました。木のぬくもりが感じられる天井や壁、木が生み出す一体感や統一感、そして広大な空間のホールに圧倒されました。

また、この木造の空間の持つ性質が音の響きを柔らかくし、残響時間を短くする効果があるそうです。シェルターなんようホールの残響時間は1.64秒だそうで、このホールの大きさに対してかなり短いそうです。残響しすぎないことで音がよりクリアに、明瞭に届き、透明感のある聴きやすい音として伝わるそうです。

施設の中にある楽屋や練習室等すべての部屋で木材が使われ、使用量は12000㎥以上だそうです。太陽光発電やバイオマス等再生可能エネルギーの積極活用等SDGs推進にも力を入れているようでとても先進的な施設だなと感じます。

音楽をする人、木を愛する日本人にとってはとても理想的な環境で魅力が多く詰まった施設だと感じました。機会があれば是非、このホールでライブやコンサートを聞いてみたいなと思います。

●高畠町立図書館

高畠町立図書館

続いて見学させていただいたのは、町役場に隣接したところに建てられた高畠町立図書館。入口左には縁側があり、そこで本を読むことが出来、右側には扉が付いており開くと屋外ステージとして演奏等楽しめるそうです。(この日は縁側は熱中症対策として読書スペースは無く、屋外ステージは展示スペースとして使われていました)

中に入ると、こちらも木のぬくもりが感じられるスペース。構造は木造+鉄骨だと思いますが、レトロな落ち着いた空間になっていると感じました。また高畠町産の杉を多く使用した図書館ということで地域活性、地域交流をうまく両立させたとても良い施設だと思いました。

使用されている材料に関しては、節のある材料が大半ではあるものの、目の付きやすい場所にはなるべく良いものを使っているのが分かりました。町産材を無駄なく使うという観点から節が多い材料を使うのは仕方のないことだと思うし、今まで自分たちが組子に使ってきた木材が如何に貴重なものだったかを改めて理解しましたし、これまで以上に木材を大切に使っていきたいと思いました。

●高畠町屋内遊技場もっくる

高畠町屋内遊技場もっくる

同じく高畠町にある屋内遊技場もっくるは、廃校となった中学校の体育館を再利用し、子供たちの遊ぶ場所に作り替えた施設。木で作られた公園のような施設で、子供たちにもう一回来たい、もっと来る!と言ってもらえるような願いが名前の由来だそうです。

遊具やおもちゃはほとんどが木製のもの、年齢の低い子供たちが利用することを想定してだと思いますが丸みのあるものが多く、空間自体も優しい空間になっているように感じました。

さらに木を使ったおもちゃは懐かしさを保護者に与えてくれるようなものもあり、子供たちと一緒になって熱心に遊ぶ保護者の方も多いそうです。

また保護者同士の交流の場でもあり、子育ての相談も出来るよう子育て支援センター、ファミリーサポートセンターも併設されているそうです。町が子供の将来をよく考えているからこそ、こういった施設が造られるのだと思うし、そういった施設に積極的に木材が使われていけば木に携わる会社や地域が活性化されるので、こういった施設がもっと増えて欲しいなと思いました。

●感想

今回ウッドデザイン賞を受賞した会社様、施設を多く見ることが出来、とても多くの知識や経験を得ることが出来ました。建築に関するところが多く、様々な話を聞き、学びを得ましたが、私はまだまだ勉強不足でもっと多くの事に触れていかなければならないなと実感しました。

また参加者の皆様も非常に見識の高い方々で、木材や建築に関する知識の深さや情熱に触れ、感銘を受けました。皆さんから聞かせていただいた専門知識や経験を活かし、自分の専門分野についてもさらなる成長を目指したいと思いました。また、コミュニケーションにおいても、初対面の方々ともすぐに打ち解けられ、意見交換や情報交換がスムーズに行われていました。お互いに尊重し、ツアーを進める姿勢が素晴らしく、皆様のおかげでとても過ごしやすい二日間になったと思います。

ウッドデザイン協会の方々や各関係会社の皆様にも感謝の意を伝えたいと思います。ツアーの準備や案内、質問に対しても丁寧な回答をいただいたりと、お忙しい中での対応に心から感謝しています。

また、受賞作品に携わった方々の技術、情熱にも感動しました。素晴らしい作品を生み出すために、日々努力しておられることに敬意を表します。私たちも今まで以上に精進していきたいと思いました。

また機会があれば是非、参加させていただきたいと思います。貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。

                                                                                                    城 広明    和田 玄哉

日本政府のSNSにてタニハタ組子が紹介されました。

日本政府が海外に向けて発信しているSNSにタニハタの組子が投稿されました。(動画)

投稿は下記URLからご確認いただけます。

【Facebook】

https://www.facebook.com/JapanGov/videos/759330255947358



【X(旧Twitter)】

https://twitter.com/JapanGov/status/1693575109431398671?s=20

https://twitter.com/japan/status/1693575109636927982?s=20


海外向けの動画なので英文ではありますが、わかりやすい映像になっています。
日本を代表する工芸として「組子細工」を取り上げていただき本当にありがたい限りです。





組子の設置写真が届きました

組子の設置写真が届きました。

●A Houston Penthouse 様(ヒューストン)

ニューヨーク・マンハッタンにオフィスを持つデザイン会社「212box」 は、世界中に多様な建築/デザインプロジェクトを提供してきた会社です。
その創業者のエリック・クラフ氏が7年前タニハタに来社され、「今までにない新しいタイプの立体的な組子を製作してほしい」とお話しをいただき、それから「立体組子」の共同開発が始まりました。

アメリカのヒューストンにできたLuxuryなペントハウスに立体組子が設置され、その設置写真が届きました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2263/


●和風レストラン「輝」様(シンガポール)

シンガポールの和風レストラン「輝」様に美術組子 抽象タイプを納入させていただきました。
メインのダイニングホールに春の鮮やかなエッセンスをイメージした組子細工が飾られています。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2290/


●HAAAVE. 様(大阪)

大阪初の男女で利用可能な会員制高級個室サウナHAAAVE.(ハーヴェ)様。
籠目柄の組子を納入させていただきました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2268/


●N邸(長崎)

吉祥組子 麻の葉と<麻の葉ちらし 桜ぼんぼり>を3連で繋いだスクリーン衝立を製作させていただきました。
蝶番は金属製のものを使わずに、戦国時代の武将「真田幸村」が作り始めたと言われる「真田紐」を使った紐蝶番で組子パネルを連結しました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2272/


●鎌倉パスタ ヨドバシ仙台店 様

「鎌倉パスタ」様は、「和」を基調にした落ち着きのあるシックな空間で、こだわりのパスタを提供されています。
全国に200店舗近く展開され、タニハタでも過去33店舗のお店に組子を納入させていただきました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2299/





※海外への組子製品の納入が増えています。
ロンドンにある5つ星の高級ホテル「45パークレーン – ドーチェスター」に設置させていただいた組子がアメリカの経済誌「Forbes」に掲載されていました。

日本でも有名な「鮨 かねさか (Kanesaka) 」様が7月にオープンしたお店で、店内のインテリアは日本料理店建築の巨匠である板井良雄氏デザインによるもの。板井様とご縁があり、今回組子を納入させていただきました。

タニハタのデザイナーがホテルの紋章をイメージしてデザインを施しています。
https://www.forbes.com/sites/

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