タニハタブログ Blog

組子らんまを作る会社<タニハタ>の日々の出来事、その思いをブログで綴ります。

パリのものづくり。

パリに行ってきました。
行き先は・・

●国立ゴブラン家具製作所
●パリ市内の民間木工房
●メゾン・エ・オブジェ(欧州最大級のインテリア・ デザイン展示会)
●ルーブル美術館など(欧州の伝統工芸、美術品)
●パリにある日本のアンテナショップ、市内にあるギャラリー

最近ヨーロッパから組子の引き合いが多くなっており、市場の生の声、情報を聞くことも目的のひとつでした。
また、タニハタの若手職人も2名連れていき、海外のものづくりを「生」でみることで、職人としての視野を広げてもらうことも目的でした。てんこもりの予定で駆け足の出張でしたが、どれも大変勉強になった次第です。

パリの国立ゴブラン家具製作所
ゴブラン家具製作所は、1667年ルイ16世の時代にできた「王立家具製作所」が元になっており、350年の歴史がある製作所です。
木家具の他に金銀・宝石細工、タペストリーなど王家用の調度品を生産してきました。

木の加工方法、大工道具の使い方、木工機械の扱い方、仕事の考え方など、いろいろなことを教えていただきました。

 

日本と同じ部分、また違う部分もたくさんありました。

例えば・・・

1 日本の鉋(かんな)は<引いて>使用するが、向こうでは、<押して>使用。
 (日本の昔の職人は、座って作業をすることが多く、押すよりも引くほうが力が入りやすかったから・・・という説があります。調べてみると日本以外はすべて押すタイプの鉋でした。)

2 日本では通常、鋸(のこぎり)は刃をまっすぐ下に向けて使いますが、
  向こうでは、横に向けて切ることもある。
  (横に切ると柄が邪魔するので、刃物部分が直角に曲がっている。
   家具加工の場合、確かに横にした方が切りやすいな・・と思うことがあります。)

3 刃物研磨も向こうは砥石に対してジグザグに刃を研ぐ。

4 日本のように直線的な加工ではなく、曲線、斜めにこだわることが多い。
  (というか技術的には、こちらの方が難しく、新しい技術・新しい機械を駆使して今までにないデザインに挑戦している姿勢が印象的でした。)

5 日本では、針葉樹を主な材料として使用しているが、向こうは、硬くて重い広葉樹が主となる。
  (多分、土足で椅子に座る生活によるもの。床や家具(ホゾ)に強度・耐久性を持たせる
  必要があるからと推測。)

  針葉樹のことを「ソフトウッド」、広葉樹のことを「ハードウッド」と英語では呼びますが、
  作り手の立場から上手く言い当てた名称と改めて感じました。

  大航海時代に多くの国から多様な家具(木材)がフランスに入ってきて、それを未だに
  修復して使用していることもあり、家具に合ったいろいろな木材(広葉樹)を使用
  されているのが実情のようです。

   日本では国産針葉樹・ブランド産地(吉野、木曽など)にこわだったりしますが、
  向こうは
製品に合う材料ならば、日本のように地元産木材や地域はあまり気にされ
  ないようです。

  (端材をたくさんおみやげにもらいました。)
   

日本は「恥」の文化が邪魔をして、新しい道具、技法に対して無意識の抵抗があります。
「道具に恥じない仕事をする」という言葉がありますが、魂が宿る「道具」の仕様を極端に変えたりはしないですね。 こういうところは日本の職人の良いところでもあり、悪いところでもあり。。

糸鋸手動機械(下写真)をフランスの職人達で製作していたのは、感動しました。
(設計図までいただきました。 うちの職人・和田が切削作業に挑戦!)


電動の機械に頼りすぎない、ということも素晴らしい!
職人の基本を思い出しました。

上記以外にもたくさんのことを教えていただきました。

さすがに350年の歴史があるフランスの製作所です。ふところも大きい!

感謝・感謝です。

●民間の木工房

いろいろな職人が集まる工房村に行きました。
ここはフランス革命の頃、レジスタンスが活動していた場所らしいです。
それを聞いてなぜかにぎりこぶしを振り上げる私・・(!?)
 

以前はこういう職人村がフランスのあっちこっちにあったようですが、今は職人の数も減少しているようです。どこも同じですね。

木彫刻を施している職人の工房を訪れました。

日本の職人のように鑿もいろいろな種類を使いこなしています。

自分達で考えた<柄の短い金槌>のようです。

右の方が、1980年代から金沢に金箔貼りの修行に来ていたとのこと。
 

 この工房では古い額を修復して、新しく販売しているようです。

フランスは、日本の職人のように新品をどんどん作るのではなく、古い家具などを修復する仕事も多いようですね。

統計の数字から見ますと・・・

日本では年間約90万戸の住宅着工数ですが、売買される住宅の約9割が新築、一方フランスは7割が中古の売買だそうです。

日本は、世界的にみても突出して「新しいもの好き」ということが、統計からもわかります。

損得で考えますと・・・古いものをどんどん壊して、新しい建物、製品を作った方が経済は活性化しますが、一方で失われるものも大きいなぁ・・と この国の古くて美しい町並み、職人の仕事ぶりをみてつくづく感じました。

●メゾン・エ・オブジェ

インテリアデザイン分野の「パリコレ」とも言われる欧州最大級のインテリア・ デザイン展示会。出展数も3000を超える大展示会で全部見るには1日では足りないくらい。。
 

近年、日本政府が伝統産業の海外進出(クールジャパン)を後押ししているせいか、燕三条、岐阜、京都など日本の地域ごとの参加が目立ちました。

欧州の木製品を見に行ったのに、ついつい日本のブースに立ち止まって話しを聞いてしまいました。。。


パリ市では、2020年までに約100ヘクタールにおよぶ壁や屋上を緑化する計画とのことで
「緑」に関する出展が多かったのが特徴です。都市部のエコ化・・・日本も見習いたいものですね。

世界で最も入場者が多い美術館「ルーブル美術館」
モナリザやミロのビーナスなど世界の宝を見てきました。


最後に・・・
格子のタワー 「エッフェル塔」に登ってきました。いつか組子でこんな立体物を作ってみたいものです。

フランスの文化は深い。。 圧倒されました。。

パリの夜景をみながら、いろいろな仕事の課題が頭の中に浮かびました。
少しずつあきらめずに挑戦していきたいと思います。