スペインを拠点に世界的に活躍するデザイナー、アンドレウ・カルーヤさんがタニハタの組子工場にお越しくださいました。
アンドレウ・カルーヤさんは、1979年生まれ、スペイン・カタルーニャ出身のデザイナーです。
2006年にプロダクトデザインスタジオを設立し、今ではスペインを拠点にする代表的なデザイン会社となっています。
家具、食器や照明、ファッション、インテリアまで様々な分野のデザインを手がけておられ、日本では無印良品(MUJI)の家具ブランド「イデー(IDÉE)」で取り扱いされています。

組子は、細かな木片を釘や接着剤を使わずに組み合わせ、幾何学模様を描き出す日本独自の工芸技術です。光を透かすと陰影が生まれ、空間に静かなリズムを刻みます。アンドレウさんは、この繊細さと緻密な計算に基づいた手仕事を目の当たりにし、「これほどの正確さと美意識を日常的に形にできるのは驚異的だ」と感嘆されていました。
一方で、スペインの工芸にはまた異なる魅力があります。スペインでは、素材の持つ力強さや温かみを大切にし、手仕事を通して自由で表情豊かな造形を生み出す傾向があります。石や陶器、ラタンやオーク材など、自然素材を大胆に生かすデザインは、陽光や風といった地中海の豊かな気候とも響き合っています。
対して日本の組子は、自然を取り込むという点では共通しながらも、規則正しい文様や寸分の狂いも許さない技術精度によって、静謐で調和のとれた世界観を表現しています。

アンドレウさんは、「両方の技術、デザインが出会うことで、まったく新しい表現が生まれる可能性がある」と語り、目を輝かせていらっしゃいました。

また、弊社工房の環境づくりや取り組みにも深く感動されました。
整然と清潔に保たれた作業場、資源を大切に扱う姿勢、そして自然との共生を意識した仕組みは、「美しい作品は美しい環境から生まれる」というご自身の信念に強く重なるものだったそうです。さらに、職人やスタッフのおもてなしに触れ、「技術だけでなく、人の心が工芸を支えている」と繰り返し感謝の言葉をいただきました。


工場を後にされてからも、ずっとエキサイトされた様子で話し続けていらしたと通訳の方からお聞きしました。私たちにとっても、遠く離れた文化を背景に持つデザイナーに組子の価値をこれほど感じていただけたことは、大きな喜びであり誇りです。
伝統と革新、東と西、異なる文化が交わることで、新しい創造の扉が開かれます。
今回の出会いが、未来の工芸に新たな可能性をもたらす第一歩となることを、心から期待しています。
アンドレウ・カルーヤ氏 プロフィール
https://casabrutus.com/categories/design/459649