タニハタブログ Blog

組子らんまを作る会社<タニハタ>の日々の出来事、その思いをブログで綴ります。

山形県ウッドデザイン賞作品 視察ツアーに参加

8月30日、31日の二日間に渡り、ウッドデザイン協会様主催の「山形県ウッドデザイン賞作品視察ツアー」にタニハタの職人2名が参加させていただきました。

一般社団法人日本ウッドデザイン協会は、木を活用した社会課題の解決をめざし、木の調査、研究、開発、事業創造、普及及び啓発する機関として2021年11月設立されました。
建築家の隈研吾氏が会長を務めており、株式会社タニハタも2021年から会員になっております。


●シェルター様本社

シェルター様本社
シェルター様本社 詳細

最初の見学先としてシェルター様本社様の方へ見学させていただきました。

まず出迎えてくれたのが、シェルター本社前にあります大型のパビリオン Global Bowl(グローバルボール)。

直径6.8mという圧巻のサイズ感でシェルター様の加工技術、接合技術の高さを象徴するかのような工芸品のようなパビリオン。これだけのサイズ感で、曲線的な美しさと耐久性を兼ね備えるのはとても大変だったと思います。

建物内で会長様のお話を聞かせていただきました。

木に対してかなり熱い情熱を持っておられ、「木造建築で世界に誇れる日本にしていこう!」ということを皆に呼びかけ、最後には握手までさせていただきました。

ほかにも話の中で出てきた接合金物工法「KES構法」や鉄やコンクリートと同等の耐火性能を持つ「COOL WOOD」、自在な曲げ、削り出しのデザイン「FREE WOOD」などシェルター様の高度な技術についていろいろなお話をいただきました。建設や建築のノウハウを知っている方のお話しを直接聞くことは職人として本当に刺激をうけます。

●シェルターインクルーシブプレイス・コパル

シェルターインクルーシブプレイス・コパル 山形
シェルターインクルーシブプレイス・コパル 室内

続いて見させていただいたのが、シェルター様が主となって建設した児童遊戯施設の「copal(コパル)」

ここは2023年日本建築学会賞を受賞しており、空間内は緩やかな曲線の連続で生み出された非常に気持ちのいい空間でした。子供心をうまくくすぐるような、子供たちが自らどんな遊びをしようかと考えてしまうような、そんな遊び心いっぱいの施設。

月平均1万5千人ほど遊びに来られるそうなのですが、子供同士の衝突の怪我や事故等は未だゼロ。なんでも野山での遊びを思わせるこの施設は子供たちの危険察知能力も向上させるとか…。

管理されている従業員の方々も毎日10名程いらっしゃるようで、よく見ておられるのだと思います。

子供は楽しく遊べ、大人はゆったり楽しめる。そんな素晴らしい空間でした。



●天童木工様

天童木工様
天童木工様工場見学

次に天童木工様へ伺いました。

成形合板技術を主力とする家具メーカー。中でも目に付くのは、曲線的な美しさを持つ椅子「バタフライスツール」(タニハタにも一脚置いています)。
作り方を一言で説明すると・・型で曲線の成形合板を作り、二枚を合わせて金具で固定させる、というシンプルなもの。しかし、この薄い板で大人の体重を支えるこの美しいデザインは「デザイン」と「木工技術」の極限の製品と思います。

実際に工場の中を見学させていただきましたが、成形合板を得意とする天童木工様はやはりプレス機の数が多いのが印象的でした。

受注に関してですが、ほぼ国内からの受注だけで賄っているとのこと。それもオーダーメイドが半数以上を占めるそうで、家具といえば規格品を大量に生産しているイメージがあったのでとても意外でした。

また、工場の外では暴露試験を行っており、屋外にむき出しの状態で配置されている椅子等の劣化具合や強度を定期的に確認されているとのこと。人の目に触れるところでそういった試験をすることで、購入するお客さんもより信頼して選べると思いました。とても良い取り組みだと感じました。

家具と組子、作っているものは違えど木工技術として参考になるところはたくさんありました。

●白鷹町まちづくり複合施設

白鷹町まちづくり複合施設

二日目の朝、最初に向かったのは白鷹町まちづくり複合施設。地域活性、地域林業復興、木材資源循環の起点となる施設だそう。

この建物は令和二年度木材利用優良施設コンクール 内閣総理大臣賞受賞という素晴らしい施設で、基本は町内産の杉から作られた構造材、造作材等から建てられ、建物内には木の良い香りがしました。また、町内産の木材を使用することで地域経済、木材産業の活性化につながります。

エントランス、待合スペースに図書館等、内装の全てが非常にスッキリとした、それでいて杉の統一感があり温かみもある施設。さらにこの施設は町民と意見交換を行い、町産の杉材を使用し、地元の製材所、乾燥センターでと町が一体となって作られていて私はただただ関心するばかりでした。

他にも端材として出た木チップをエネルギー源として役場内に暖房をボイラーから送る等、環境面にも配慮され、持続可能な地域産業の活性化、好循環に繋げています。町民に愛されているのはもちろん、他の自治体からも毎日のように見学に来られるそうです。



●おきたま木材乾燥センター

おきたま木材乾燥センター

次いでおきたま木材乾燥センター。置賜地域の林業発展や地元産の活用のために地元の製材会社や建設会社の出資によって設立された木材乾燥施設。JAS機械等級区分製材(ヤング係数や含水率を機械計測して区分されたもの)の認定を受けたJAS認定工場、その製材の様子を見学させていただきました。

入口に見えたのが私も仕事中によく使っているクロスカットソー。しかし建材や構造材を扱うだけあって非常に長いものでした。

その奥にあるのがマルチ自動四面カンナ盤というここでの製材のメインとなる機械。実際に動いているところを見学させていただくと、左右の円柱状の刃物、奥の両面自動の計四面のプレーナーを通り、さらに機械に通した出口には高周波で計測された材料の含水率やヤング係数等がモニターに表示されるという機械。

組子用の機械は小さなものが多いので、「こんな機械があるのか…」と感心しましたし、木工機械の技術もこれだけ進んでいるんだと、他の工場を見ることでしか気付けないことも感じさせていただきました。

この機械は建材を製材用途で作られたものだと思うので精度面はある程度大雑把なところがあると思いますが、将来的には四軸からなる0.01まで精度が出せる機械。こんなものが出てきたら組子を製作する側としてはとても魅力的だと思います。

おきたま木材乾燥センターを通して地域の企業間の連携や協力体制の重要性を再認識し、地域を支えるためには地元の企業や関係者が一丸となって取り組むことが大変重要であると感じました。



●シェルターなんようホール

シェルターなんようホール
シェルターなんようホール 内装

続いて見学させていただいたのはシェルターなんようホール。世界最大の木造コンサートホールとしてギネスに認定されているホールです。

前日に見学したシェルター様の接合金物工法である「KES構法」や「COOL WOOD」で非常に高い耐震性、耐火性を持つそうです。

エントランスに入ると木の香りがし、周りを見渡すと館内全体に木がふんだんに使われているのがわかります。

エントランスの中心を起点に八方向八本の大きな柱があり、それぞれの柱に山の名前が書いてあります。なんでも中心をこのホールに見立てて八方角それぞれにある柱は山形の名山という地図のような造り。これだけでも木に対するこだわりなどが伝わってきます。

大ホールの中に入らせていただきました。木のぬくもりが感じられる天井や壁、木が生み出す一体感や統一感、そして広大な空間のホールに圧倒されました。

また、この木造の空間の持つ性質が音の響きを柔らかくし、残響時間を短くする効果があるそうです。シェルターなんようホールの残響時間は1.64秒だそうで、このホールの大きさに対してかなり短いそうです。残響しすぎないことで音がよりクリアに、明瞭に届き、透明感のある聴きやすい音として伝わるそうです。

施設の中にある楽屋や練習室等すべての部屋で木材が使われ、使用量は12000㎥以上だそうです。太陽光発電やバイオマス等再生可能エネルギーの積極活用等SDGs推進にも力を入れているようでとても先進的な施設だなと感じます。

音楽をする人、木を愛する日本人にとってはとても理想的な環境で魅力が多く詰まった施設だと感じました。機会があれば是非、このホールでライブやコンサートを聞いてみたいなと思います。

●高畠町立図書館

高畠町立図書館

続いて見学させていただいたのは、町役場に隣接したところに建てられた高畠町立図書館。入口左には縁側があり、そこで本を読むことが出来、右側には扉が付いており開くと屋外ステージとして演奏等楽しめるそうです。(この日は縁側は熱中症対策として読書スペースは無く、屋外ステージは展示スペースとして使われていました)

中に入ると、こちらも木のぬくもりが感じられるスペース。構造は木造+鉄骨だと思いますが、レトロな落ち着いた空間になっていると感じました。また高畠町産の杉を多く使用した図書館ということで地域活性、地域交流をうまく両立させたとても良い施設だと思いました。

使用されている材料に関しては、節のある材料が大半ではあるものの、目の付きやすい場所にはなるべく良いものを使っているのが分かりました。町産材を無駄なく使うという観点から節が多い材料を使うのは仕方のないことだと思うし、今まで自分たちが組子に使ってきた木材が如何に貴重なものだったかを改めて理解しましたし、これまで以上に木材を大切に使っていきたいと思いました。

●高畠町屋内遊技場もっくる

高畠町屋内遊技場もっくる

同じく高畠町にある屋内遊技場もっくるは、廃校となった中学校の体育館を再利用し、子供たちの遊ぶ場所に作り替えた施設。木で作られた公園のような施設で、子供たちにもう一回来たい、もっと来る!と言ってもらえるような願いが名前の由来だそうです。

遊具やおもちゃはほとんどが木製のもの、年齢の低い子供たちが利用することを想定してだと思いますが丸みのあるものが多く、空間自体も優しい空間になっているように感じました。

さらに木を使ったおもちゃは懐かしさを保護者に与えてくれるようなものもあり、子供たちと一緒になって熱心に遊ぶ保護者の方も多いそうです。

また保護者同士の交流の場でもあり、子育ての相談も出来るよう子育て支援センター、ファミリーサポートセンターも併設されているそうです。町が子供の将来をよく考えているからこそ、こういった施設が造られるのだと思うし、そういった施設に積極的に木材が使われていけば木に携わる会社や地域が活性化されるので、こういった施設がもっと増えて欲しいなと思いました。

●感想

今回ウッドデザイン賞を受賞した会社様、施設を多く見ることが出来、とても多くの知識や経験を得ることが出来ました。建築に関するところが多く、様々な話を聞き、学びを得ましたが、私はまだまだ勉強不足でもっと多くの事に触れていかなければならないなと実感しました。

また参加者の皆様も非常に見識の高い方々で、木材や建築に関する知識の深さや情熱に触れ、感銘を受けました。皆さんから聞かせていただいた専門知識や経験を活かし、自分の専門分野についてもさらなる成長を目指したいと思いました。また、コミュニケーションにおいても、初対面の方々ともすぐに打ち解けられ、意見交換や情報交換がスムーズに行われていました。お互いに尊重し、ツアーを進める姿勢が素晴らしく、皆様のおかげでとても過ごしやすい二日間になったと思います。

ウッドデザイン協会の方々や各関係会社の皆様にも感謝の意を伝えたいと思います。ツアーの準備や案内、質問に対しても丁寧な回答をいただいたりと、お忙しい中での対応に心から感謝しています。

また、受賞作品に携わった方々の技術、情熱にも感動しました。素晴らしい作品を生み出すために、日々努力しておられることに敬意を表します。私たちも今まで以上に精進していきたいと思いました。

また機会があれば是非、参加させていただきたいと思います。貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。

                                                                                                    城 広明    和田 玄哉

日本政府のSNSにてタニハタ組子が紹介されました。

日本政府が海外に向けて発信しているSNSにタニハタの組子が投稿されました。(動画)

投稿は下記URLからご確認いただけます。

【Facebook】

https://www.facebook.com/JapanGov/videos/759330255947358



【X(旧Twitter)】

https://twitter.com/JapanGov/status/1693575109431398671?s=20

https://twitter.com/japan/status/1693575109636927982?s=20


海外向けの動画なので英文ではありますが、わかりやすい映像になっています。
日本を代表する工芸として「組子細工」を取り上げていただき本当にありがたい限りです。





組子の設置写真が届きました

組子の設置写真が届きました。

●A Houston Penthouse 様(ヒューストン)

ニューヨーク・マンハッタンにオフィスを持つデザイン会社「212box」 は、世界中に多様な建築/デザインプロジェクトを提供してきた会社です。
その創業者のエリック・クラフ氏が7年前タニハタに来社され、「今までにない新しいタイプの立体的な組子を製作してほしい」とお話しをいただき、それから「立体組子」の共同開発が始まりました。

アメリカのヒューストンにできたLuxuryなペントハウスに立体組子が設置され、その設置写真が届きました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2263/


●和風レストラン「輝」様(シンガポール)

シンガポールの和風レストラン「輝」様に美術組子 抽象タイプを納入させていただきました。
メインのダイニングホールに春の鮮やかなエッセンスをイメージした組子細工が飾られています。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2290/


●HAAAVE. 様(大阪)

大阪初の男女で利用可能な会員制高級個室サウナHAAAVE.(ハーヴェ)様。
籠目柄の組子を納入させていただきました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2268/


●N邸(長崎)

吉祥組子 麻の葉と<麻の葉ちらし 桜ぼんぼり>を3連で繋いだスクリーン衝立を製作させていただきました。
蝶番は金属製のものを使わずに、戦国時代の武将「真田幸村」が作り始めたと言われる「真田紐」を使った紐蝶番で組子パネルを連結しました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2272/


●鎌倉パスタ ヨドバシ仙台店 様

「鎌倉パスタ」様は、「和」を基調にした落ち着きのあるシックな空間で、こだわりのパスタを提供されています。
全国に200店舗近く展開され、タニハタでも過去33店舗のお店に組子を納入させていただきました。
https://www.tanihata.co.jp/contents/gallery/post_2299/





※海外への組子製品の納入が増えています。
ロンドンにある5つ星の高級ホテル「45パークレーン – ドーチェスター」に設置させていただいた組子がアメリカの経済誌「Forbes」に掲載されていました。

日本でも有名な「鮨 かねさか (Kanesaka) 」様が7月にオープンしたお店で、店内のインテリアは日本料理店建築の巨匠である板井良雄氏デザインによるもの。板井様とご縁があり、今回組子を納入させていただきました。

タニハタのデザイナーがホテルの紋章をイメージしてデザインを施しています。
https://www.forbes.com/sites/

組子動画「組子職人 木材の見極め」アップいたしました

最近、海外の方から「独学で組子を製作してみたのだけど見てもらえないか?」と写真を送られてくることが増えました。

写真を見ると「YouTubeを見るだけでよくここまでできるなぁ」と関心します。
その木工への情熱は素晴らしい。

ただし、よく見ると木材の選別がちょっと残念かなぁ と思います。

設置後に大きなねじれや反りが出るかも・・・と写真や動画を見て思います。

日本と海外の「木材に対しての考え方の違い」が表れるようです。


また、自分で使用される分には問題ないのでしょうが、桟の隙間や凹凸が気になります。

当社もずっと組子を製作していますが、全てのマス目を隙間なく組み上げるのは至難の業で、未だにこの隙間、凹凸、ヒゲとの戦いです。

ここにこだわらないと組子細工の本当の美しさがでてこない。

組子細工の良し悪しを判断される場合、目を凝らしてこの組子の納まりや隙間、材料の良し悪しを見てもらいたいと思います。

そんな気持ちから今回、組子の材料選別の動画を制作してみました。

——

海外の富裕旅行者の増やすために富山、石川県の自治体が海外向けプロモーション動画を共同制作。
タニハタも撮影に協力させていただきました。

美しい映像で見ると地元富山の良さを再確認できますね。



組子製作工場 夏の省エネ対策につきまして

猛暑日が続きます。
「環境に負荷をかけず、極力無駄なエネルギーを使用しないモノづくりを行うこと」・・
脱炭素経営を会社の方針としている当社は、今年の夏も工場内でいろいろな省エネ対策を行いながら組子製作を行っています。

■工場(木取り場)

南側に位置する木取り場は、作業空間に入る日光を極力遮断しています。


窓際に遮光スクリーン  風も建物内に入れる必要があるために通風タイプを設置

組子工場 省エネ対策


屋根裏に断熱材を吹き付けしたり、窓をペアガラスにしたり、外からの熱を遮断。
今年の夏はかなりその効果を実感しています。
エアコンを入れて室温30度を超えることはなくなりました。


■仕上げ室

午前の暑い時間帯だけ水を屋根に流し、屋根の焼け込みを防ぎます。(冬場の融雪ホースを利用)

組子細工製作工場 省エネ対策 工場屋根

また、窓の前に木材を並べて、直射日光を屋外側で遮ります。  (風は通します。)

組子細工製作工場 省エネ対策 窓を木を遮熱


組子細工製作工場 省エネ対策 断熱シート
天井にも断熱シート。


■組み付け場
ここは、エアコンや大型サーキュレーター、LED照明など一番電力を使用する場所になりますが、自社消費型のソーラーパネルを工場屋根に設置して直接電力を屋根から融通しています。

組子細工製作工場 省エネ対策 サーキュレーター
組子細工製作工場 省エネ対策 太陽光パネル


省エネ・・・ではありませんが、作業中にうっかり水筒をテーブルから落とすことがあるので、職人達が<水筒ストック箱>を製作して各テーブル足元に設置しました。(作業用テーブルも職人達の手作りです。ヒノキ材で製作。)

組子細工製作工場 手作り作業台

■オフィス

お昼を過ぎると直射日光が差し込む事務所前に遮光シェードを設置。(12時になると女性スタッフが手動で遮光シェードを下げます。)

事務所前のガラスも単体ガラスからペアガラスを付け足し、「3枚ガラス」にしたことでエアコンの効きが格段に良くなりました。

組子細工製作工場 省エネ対策 オフィスの遮熱対策

その他・・・

会社の自動車二台を電気自動車に変えました。 工場屋根のソーラーパネルで発電する電力を使用するようにしています。

日産自動車アリア サクラ 二台導入
EVフォークリフト導入
フォークリフトもEVタイプです。

とやま水の郷でんき タニハタ 契約書

屋根の太陽光だけでは工場全ての電力を賄えませんので、足りない分は北陸電力さんの「とやま水の郷でんき」を契約して電力を使用しています。これは富山県の水力発電所から産み出される電力で、CO2の排出が0となる契約となります。

命に関わる程の猛暑・・・ニュースから流れるそんな言葉に違和感がなくなってきていることが怖くもありますが、当社なりに行動をおこして発信していきたいと思います。

タニハタ 地球温暖化対策について


組子の製作体験(2団体)

今月はアメリカと富山市の高校から2団体見学にお越しいただきました。

6月13日はアメリカのワシントンD.C.から6名ご家族で工場見学にお越しいただきました。
1日富山県の工房見学の予定でモメンタムファクトリー・Orii 様、井波に彫刻も見に行かれるそうです。

材木置き場では木材の種類や組子に使用する木材の見極め方についてご説明させていただきました。含水率は何%の木材を使っているかご質問が
あったりと、とても熱心にお話を聞いていただきました。

組子 工場見学 製作体験

組子体験では胡麻の葉っぱがなかなか嵌らず何度も挑戦されていました。最後残り5分をお伝えすると、皆さん一気にコツを掴み全員が完成した
組子をお持ち帰りいただくことができました。

組子 工場見学

最後はアメリカのお土産までいただき、工場見学にとても満足いただいたご様子でした。
製作体験中は私も拙い英語でなんとか組み方をお教えできたらと思い、お話させていただきましたが笑顔で真剣に聞いてくださったご家族の
皆様に感謝いたします。

通訳の方なしではなかなか海外のお客様の工場見学は難しいですが、海外のお客様にも組子の良さを知っていただけるようもっと勉強したいと
思います。

西川

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6月19日は地元富山の星槎国際高等学校富山学習センターの生徒さん5名と先生3名にご来社いただきました。

組子 工場見学 書院障子

内閣総理大臣賞を受賞したタニハタの書院障子をご覧いただいた際は、生徒さんも先生方も組子の繊細さや技術力に驚いておられました。
皆さん組子に顔を近づけて、じっくりと組子を見ておられました。
生徒さんも組子の桟の感覚の測り方や、製作方法についてなどの疑問点を積極的に質問してくださいました。

組子 工場見学 葉っぱ落とし

職人のハッパ落としの作業から始まり、麻の葉のミニ組子が完成した瞬間、「お~」「すごい…」と声をあげながら感心されておられました。

組子 工場見学 製作体験

ミニ組子の製作体験になると、どの学校の学生さんも集中力が高く、熱心に取り組んでおられ、大変嬉しく思います。

今回は地元富山の学生さん方にお越しいただき、富山から全国へ組子を発信しているタニハタについて、組子について、環境問題の取り組みについてより知っていただけたかと思います。
実際に星槎国際高等学校富山学習センター 様の卒業生が現在タニハタの職人として働いておりまして、先生方と楽しそうにお話しされておりました。
今後も地元富山の学生さんだけでなく、全国各地の学生様に組子の技術や、文様に込められた願い、和の大切さ、そして環境に負荷をかけないものづくりの重要性が少しでも伝わればいいなと思っております。

志賀

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海外でのイベント、プロジェクトのご案内

コロナも一段落し、海外のイベントやプロジェクトが活発になってきました。
タニハタも展示用の組子など協力させていただきました。

■オーストラリア シドニー
Simply Native 様

職人による作品づくりの過程を伝える企画展「Artistry at its Finest(至高の職人展)」
シドニー・紀伊國屋書店ギャラリーにて開催

|開催期間:2023年6月2日〜6月29日
|会場:シドニー・紀伊國屋書店 Wedge Gallery

組子職人 企画展「至高の職人展)

■アメリカ ニューヨーク
CRAFITS DESIGN STUDIO 様

ICFFは、現代的な家具デザインのためのアメリカを代表する展示会です。
(タニハタも2012年に出展しております。)
CRAFITS DESIGN STUDIO 様は2年続けての出展となりました。

|開催期間:2023年5月21日〜5月23日
|会場:Jacob K. Javits Convention Center.

CRAFITS DESIGN STUDIO kumiko

■「匠の技が生むジャパン・ラグジュアリー」

三越伊勢丹プロパティ・デザイン

カタログやWEBページ制作に協力させていただきました。

組子の製作体験 (2団体)

今月は大阪府の2つの中学校から工場見学にお越しいただきました。

5月19日は大阪府の大桐中学校の7名の生徒さんが来社されました。
この日は富山県内の事業所8か所の中から自分たちの興味のある場所を選び訪問する選択学習の日で、弊社の他には富山県立イタイイタイ病資料館や富山ガラス館、地引網体験などを選ばれたとのことでした。

木材の色味の違いについてご説明させていただきました。着色ではなく本来の木の色味を利用してデザインしていますとお話しすると
顔を近づけ木材の違いをじっくりと見ておられました。

実際に地組組みを体験していただきました。
筋が良く職人もびっくり。
なんとこの生徒さんは、実家が大工さんだそうで、この後の組子体験も一番にミニ組子を完成しておられました。

組子体験ではアドバイスなしで自分の力で完成させたいと意気込み一生懸命挑戦されていました。
見事完成し、とても喜んでおられる姿にこちらも大変うれしい気持ちになりました。

今回の中学校は<SDGsの学習旅行>として富山にお越しいただきました。
事前にタニハタのホームページを調べてきてくれた生徒さんもおられ、アンケートでは実際に見ることができて良かったと言っていただきました。
短い時間での工場見学・組子製作体験のプログラムではありますが、生徒さんの今後の学習に少しでもお役に立てればと思います。

西川

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5月24日は枚方市立長尾西中学校の生徒さん17名にご来社いただきました。
前回同様、今回もSDGsの勉強をするためにタニハタの工場見学を選んでお越しいただきました。

会社説明をしている際や動画をご覧いただいている際は、生徒さんたちが持ってこられたファイルにメモを取りながら、熱心に話を聞いてくださりました。
質問にも積極的に答えてくださる、とても元気で明るい生徒さん方でした。

ミニ組子の製作体験では皆さん手際よくあっという間に三つ組手を組み上げておられました。
パーツが折れるのを悔しがり何度もトライしている生徒さんや、教え合って一緒に組み上げている生徒さんなど皆さんとても楽しんでいる様子を拝見して大変嬉しく思いました。


今回はSDGsの勉強をメインとしてお越しいただきましたが、タニハタの環境問題への取り組みや働き方だけでなく、組子製作体験を通して、日本の伝統工芸である組子の良さも知っていただけたと思います。こちらもとてもやりがいを感じました。タニハタの工場見学を通して、生徒さんが少しでも環境問題について興味や疑問を持ち、未来につなげてくださることを願っています。

志賀

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ポケモン×工芸展を見学

昨年秋の名古屋研修から約半年・・

タニハタでは定期的に「モノづくり」「木材」に関する出張勉強会を開催しており、今回は「作家と作品」をテーマにして研修プランを組み見学してきました。

今回見学した場所

1 国立工芸館 (金沢) 「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見」展

2 石川県立伝統産業工芸館(金沢)

3 見城亭(食事 兼六園内)

4 木工房 バイハンド(木工作家 小松 研治先生工房)(富山)

5 富山県立美術館 棟方志功展

GW期間中ということもあり、全員参加とはなりませんでしたが、それでも19名の大人数での見学となりました。



最初の見学は、金沢にある「国立工芸館」で開催されている今話題の工芸企画展「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見」。

国立工芸館 (金沢) 「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見」展 見学

9時20分に到着。ここの建物は、日本海側初の国立美術館として、2020年10月に金沢市にて開館しました。モノづくりを生業とするものとして、京都や東京などではなく、富山から一時間余りで来ることができる金沢にこんな立派な展示施設が移転してきて本当にありがたく思います。

ここは、明治期に建てられた旧陸軍第九師団司令部庁舎と旧陸軍金沢偕行社の2つの古い建物を移築して再利用されている歴史ある建造物。名誉館長職には元サッカー選手の中田英寿氏が就任されています。

入り口で目をひいたのはイーブイとその進化形三匹。

ポケモンという2次元のベタ塗りの想像的生き物が、作家の感性を駆使して、3次元の我々の住む世界に生の質感をまといイキイキと飛び出してくる・・・。
アニメと工芸・・・ひとつ間違えばこの相反している制作物の企画・・・結構な波風が立ったろうなぁとこの企画を立てられた方のご苦労を感じました。
出展されている作品もかなり温度差があり、戸惑いながら製作されているものと、すごい熱量でもって製作されている作品、とかなり差があるようにも感じました。

今回の企画展で最も私が感動したのはこの作品。

池田晃将氏の「未知文黒御影茶器」
h9.1 6.2×5.1cm
<漆、鮑貝、夜光貝、白蝶貝、螺鈿>



組子細工もそのパーツや仕事の細かさに驚かれることが多いですが、この作品の細かさと美しさは別格。

近未来をイメージさせる螺鈿と漆の美しさ。。

ポケモン文字はちゃんと意味があるように並べられており、遠目にみるとポケモンの姿も浮き出てくるというもの。

この後、製作風景の動画をみたのですが、この文字を切り抜くのはなんとレーザーマシン。

パチパチと切り抜いた文字を一個一個手で貼り付けて、漆は重ねる作業。。それの繰り返し。

「伝統」と「革新」とはまさにこういうモノづくりのこと。素晴らしい。



次に石川県立伝統産業工芸館

ここの展示物には「値札」が貼ってあり、「作品」というより「商品」寄りものが多く展示されていました。値札が付いていると「自分の生活の中で使うならば・・・」という視点で見ることができるので、ポケモン展とは又違った目線で工芸品を身近に楽しむことができました。

「兼六園」は200年前、松平定信が宋時代の書物「洛陽(らくよう)名園記」に記載されている「相反する六つの景観(六勝)を兼ね備えている園」という文から名付けたそうです。

食事場所は、建築家 隈研吾氏設計による兼六園の新しい顔「見城亭」。

北陸民家を大雪から支えてきた「サシモノ造り」で建物を補強しているそうです。

内装の色調も黒く統一し、落ち着いた雰囲気の中で食事することができました。

料理も上品で大変美味しくいただきました。

壁に隈研吾氏のサイン。

「木格子」の建築物は、我々組子屋としても大変勉強になりました。


お昼過ぎて小松研治氏の工房へ

道具、工具、治具、部品、機械、部屋の調度品、猫のお墓、ご仏壇、小さなネジ1本まで・・・すべてと言っていいほど小松先生のカラーで製作、収集され、それらは驚くほど美しく機能的に配置されており、先生からお話しを聞いてその配置の謎が解ける・・・というミステリーツアーのような工房探検でした。

答えを聞くたびに「すごい!」という声。  

木工を生業とするものとしてワクワクが止まらない素晴らしい時間。

小さな空間なのに大きなテーマパークのアトラクションの中を歩き回っているような、そんな錯覚にまで陥りました。

たくさんの学びをいただきました。

最後に 富山県立美術館で開催されている「棟方志功展 」を見学。

棟方志功は、1945年から6年8カ月間、富山県南砺市(旧福光町)に疎開。
民藝の巨匠たちや富山県の人々との交流が、棟方志功の作品に大きな影響を与えていったそうです。
すごいエネルギーを感じる作品が多く、最後まで圧倒されました。

今回、いろいろな場所を見学させていただきましたが見学の後も余韻が残る見学会になりました。
私以外の若い職人達もいろいろな影響を受けたようで今回急遽企画して良かったと思いました。
また、写真撮影可能の美術展が増えたことも本当にありがたいことです。
また、秋にでも見学会を行いたいと思います。




組子の設置写真が届きました

組子設置写真(5件)が届きました。タニハタのphotogalleryページにアップいたしました。

Sakagura 様(ニューヨーク)

すし晴 様(シンガポール)

浅野工学専門学校(横浜)様


名古屋マリオットアソシアホテル 様

CLUB FOUR SEASONS (福岡)様

CLUB FOUR SEASONS (福岡)様 組子細工 タニハタ

コロナ禍も一息ついて海外施設、外資系企業への納入がかなり増えてきました。
アメリカやオーストラリア、欧州や台湾、香港、シンガポール・・・地域を問わずに引き合いが多くなってきています。

また、商業施設に設置した組子をご覧になったお客様から「自分が住んでいる住宅に設置したい」というケースも増えてきており、住宅でのご使用が増えてきていると実感します。
下写真はアメリカのお客様(個人)からいただいたお写真ですが、麻の葉や千本格子などのシンプルなデザインを住宅の中にうまく溶け込ませて、和風になりすぎないように工夫して使用されています。

引き続き、日本のみならず海外に向けても情報発信していきたいと思っております。



富山空港・国際線に美術組子を設置

観光や買い物を目的として海外からプライベートジェット機で来日される富裕層向けの施設が富山空港に完成しました。
そこの プライベートジェット機 専用ロビーにタニハタの美術組子「立山連峰」を設置させていただきました。

成田空港にあるスイスポートのラウンジにも組子(麻の葉ちらし)を設置させていただきました。

コロナ禍も一段落し、空港や駅などインバウンド向け施設への組子納入が増えてきておりますが、日本の経済が少しでも回復することを願い、組子の製作、設置を進めてまいりたいと思います。

スウェーデン王立リンショーピング大学の学生が来社されました

スウェーデンにある王立リンショーピング大学 マルムステン家具デザイン学部の学生と先生、木工作家の小松研治先生が工場見学に来社されました。

スウェーデンにあるリンショーピング大学は、1969年に創立された大学で23の教育部門および4学部を有しているヨーロッパでは有名な大学です。

「マルムステン家具デザイン学部」を創立したカール・マルムステン氏は「スウェーデン家具の父」と呼ばれる方で、家具デザイナーであり、建築家、そして教育者でもありました。
北欧家具の特徴は、自然の素材を生かし素朴でありながら美しさと機能性を備えたデザインでもありますが、日本の組子にもどこか通じるところがあり私も以前から興味を持っていました。

一方、木工作家の小松研治先生は、東京芸術大学大学院美術研究科終了後、大学などで講師、教授として教鞭をとられ、2017年から富山大学名誉教授に就任されています。
現在は富山市婦中町にて作家活動をされています。

そんな木工のスペシャリスト達が来社される、ということで当社の職人達も3ヶ月ほど前からいろいろな準備をしておりました。

最初は、タニハタの会社ビデオ(英語版)を見ていただき、日本の組子についての説明をさせていただきました。

古い組子やタニハタが制作した新しい文様、組子製作の道具、日本の木材などを説明。

内閣総理大臣賞を受賞した40年前の書院障子を見ていただきました。当時の製作はまだほとんどが手作業で行っていたのですが、かなり興味を持たれましたので丁寧に説明させていただきました。

組子製作体験をしていただきました。すごい集中力で組子を製作。

籠目柄を製作するための4つの技法を実演。

スウェーデンの木工の歴史をタブレットで説明していただきました。うちの職人達も興味津々の様子。

タニハタから欧州の木工についてたくさん質問させていただきました。私達にもわかりやすいように丁寧に手描きで説明していただきました。
機械によじ登って話しを聞いている職人もいます(笑)

職人達からの質問内容・・・

スウェーデンで主に使用されている木材は何ですか? 
それはどこの国の木材ですか? 
購入される際、木材のどこを重要視しますか? 
日本の木材に興味はありますか?  
スウェーデンの林業のひと手は足りていますか?  
ものづくりするものとして大切にされていることは?(こだわりなど) 
継ぎ手や仕口にはどんなものがありますか?  
いままで製作されたもので大変苦労されたものは?  
職人としての悩みはありますか?   
木工職人をめざす人は増えているのか?  
主にどんな木工機械 道具を使用されていますか? 
それはどこの国のメーカーのものですか? 
スウェーデンの伝統的な技法があったら教えていただけますか? 
木工の歴史を教えていただけますか?  
スウェーデンで組子技術に似たようなものはありますか? 
スウェーデンで組子はどれくらい知られているのでしょうか?
タニハタに来られた理由は?  
組子のどこに魅力を感じますか?
スウェーデン(皆様は)では環境に負荷をかけないものづくりをされていますか?

時間と共に熱のこもった話しになり、身を乗り出して聞いています。

朝9時から12時まで約三時間仕事をとめて木工に関する情報交換を行いました。本当に実のある話しでした。
今度はタニハタの職人がスウェーデンで研修させていただく・・・という流れになり、最後は笑顔で拍手。

言葉は通じなくても、職人同士は心が通じるものですね。
地球の裏側からご来社いただき本当に感謝です。



お土産に・・・スウェーデンの手作りジャムと手作りの木箱をいただきました。良い仕事をされています。

スウェーデンの家具の書籍

小松研治 書籍 工場見学

小松先生からは書籍2冊をいただきました。すべてサイン入りです。
GWに職人達で工房見学させていただく予定です。
ご縁に感謝です。

NHK新富山放送会館に組子を設置

2016年3月から2022年8月までの6年間半、NHK富山スタジオに設置していた組子を新たに文様を追加して作り直しました。

NHK 組子細工 設置 新富山放送会館
NHK 組子細工 設置 新富山放送会館 エレベーター

新しいNHK会館のエレベータまわりに再設置させていただきました。

商業施設やパブリックスペースの場合、住宅用に比べて使用期間が短いことが多く、職人が心を込めて製作しても処分されることも少なくありません。今回のように設置から時間が経過しても組子を大切にしていただく現場を見ると本当に嬉しく思います。

NHK 組子細工 設置 新富山放送会館 エレベーター 富山人
NHK 組子細工 設置 新富山放送会館 見学

製作に関わった職人達も見学させていただきました。大変嬉しそうでした。本当に感謝です。

下写真は設置当時(5年前)の写真となります。

NHK 組子細工 設置 新富山放送会館 富山人

昨今、テレビやネット動画で組子細工を目にする機会が増えました。
文様の美しさも重要な要素ですが、組子細工は桟の細かい<納まり>がとても重要になります。
画像に写らないから手を抜く・・・そんなことがないように注意してまいりたいと思います。   谷端

富山県の木材情報誌「杣(そま)」に掲載されました

富山県が、木材需要拡大のための情報誌として発刊している機関誌「杣(そま)」にタニハタ組子の特集ページを組んでいただきました。
昨年、富山県庁の敷地内に完成した<県防災危機管理センター>正面に設置した組子のことを取り上げていただいております。

・タイトルの「杣(そま)」について・・・
7世紀後期以後の日本では、国家や貴族・寺社などが、建築(邸宅・寺院)用木材の伐採地として設置した山林のことを「杣」と呼び、近世・近代になってからは、「林業従事者」や人が木を利用するために手入れしている「森林」の意味でも用いられるようになったようです。

タイトルから見てとれるように「木」や「林業」「木材建築」にこだわった情報誌で大変読み応えのある内容となっております。

内容は下記からご覧いただけます。

https://www.pref.toyama.jp/1603/

内容 PDF
https://www.pref.toyama.jp/documents/18606/soma14.pdf

杣 富山県 機関誌 組子

2023年度 入社式を開催しました

雪国富山も桜が満開を迎え、暖かい1日となった4月3日(月)、タニハタ本社において2023年度入社式を開催しました。
今年度は地元の工業高校を卒業した組子職人希望の若衆一名(18才)が入社してくれました。

コロナウィルスが世界に広がってから3年間が経過し、私達社会人も大変な状況になりましたが、高校3年間をマスクで過ごした彼も大変な思いで学生生活を過ごしたことと思います。毎日の職人研修で覚えることがたくさんで大変かと思いますが、まずは職人の基本を身につけてもらえるよう職人達全員でフォローしていきたいと思います。

当社もおかげ様で毎年安定して新卒の採用を続けており、古い伝統工芸から新しいモノづくりの会社へと変化してきております。
新しい仲間を迎えたタニハタのさらなる成長にご期待いただければと思います。

タニハタ 組子職人 入社式 2023

組子製作体験に来ていただきました(3団体)

3月になり雪国富山も暖かくなってきました。
県外から中学校2校と 富山県経営者協会様の3団体の皆様にご来社いただきました。


3月3日 新潟県の妙高市立新井中学校から35名の生徒さんが来社されました。

皆さん熱心に組子製作体験に参加していただきました。こちらが驚くほど、集中力が高く、黙々と組子を真剣に組み立てておられました。

生徒さんに実際に見ていただきながら弊社で使用している木材の説明をしましたが、神代杉の樹齢約2500年という年数に「すごい・・・」と驚いておられました。

天気が良かったので、材木置き場もご紹介しました。

今回は富山県内の工房や資料館など生徒さん自身でいきたい場所を選んで見学する学習だったそうです。
その中でもSDGsについて勉強するためにタニハタの工場見学を選んでくださりました。
数ある見学場所の中からタニハタを選んでいただきとても嬉しく感じます。
タニハタの工場見学を通して、生徒さんに組子製作の素晴らしさや、和の大切さについてだけでなく、今後の課題であるSDGsへの取り組みや環境へ負担をかけないモノづくりについての重要性を少しでも知っていただけたらありがたいです。

志賀

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3月9日 燕市立燕中学校様 29名 来社されました。

最初に会社のプロモーション動画を観ていただきました。
会社説明の中では弊社が取り組んでいる8つのSDGsの項目について詳しく紹介しております。

昔ながらの製法である葉っぱ落としを職人が実演しました。
あっという間に組子のパーツが揃い麻の葉の文様が出来上がる様子に生徒さんから「わーっ!」と歓声が上がりました。

ベテランの職人から組子製作で肝心な木材の選別、木取りについてお話させていただきました。

燕中学校様にいただいたアンケートを一部紹介させていただきます。
職人から直接話を聞くことができ良かったと大変喜んでいただきました。
次回も職人から生徒さんに組子製作にかける熱い想いをお届け出来たらと思います。

西川

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3月14日 富山県経営者協会様・環境委員会メンバーの皆様13名が来社されました。

富山県経営者協会は、1947年に設立された富山県を代表する経済団体の一つです。
現在の会員数は470社(2022年4月1日)を数え、富山県内の経営者の情報交換の場として活動を活発に続けておられます。
https://www.toyama-keikyo.jp/

昨年3月にも他の部会メンバー12名の方が来社され、今回で二回目のワークショップとなりました。

環境委員のメンバーということもあり、質問は「エネルギー」「電力」などに関することが多かったです。

全体に和気あいあいと楽しんでいただき、こちらも大変勉強になりました。

組子製作の際に発生する木材の切削クズから作るペレタイザーにも興味をもっていただきました。

この日はアメリカ、韓国、イギリスに送る組子をご覧いただきました。 海外に送る組子が増えています。

コロナ禍も一段落ついて、工場見学も増えてくると思いますが、来社されたお客様に少しでも気持ち良く体験していただけるよう、これからも社員達と共に工夫してまいりたいと思います。

 谷端

樹齢240年のヒノキ材 入荷しました

二週間前に産地で競り落としたヒノキ材が、本日入荷しました。
樹齢240年のヒノキ材(建具用柾目)も入荷しましたが、他の材料と同じ扱いで当社組子の「ヒノキ 源平材」として販売していきます。

この他にも「木曽ヒノキ・柾目材」や「吉野杉 赤身材」など、かなり程度の良い木材が入荷しました。
組子完成後に反りやねじれを発生させないためには、木目切れのない詰んだ(魚でいうところの大トロ部分)を使用していく必要があります。

歴史の長く、組織がしっかりした木材産地は伐採した後も次の数百年に備えて植林して木を管理をしていきます。
そういう木材産地を応援し、その素晴らしさを伝えていくことがタニハタの使命とも思っております。


日本の林業の現状が少しでも良くなりますようこれからも職人達と共に取り組んでまいります。


タニハタ組子 ヒノキ
タニハタ組子 木材

特徴のある木材(林野庁での受賞歴のある木材や樹齢の長い木材、有名な神社仏閣に使用された木材の端材など)は、製材業者様の方でこんなコピーを貼って競りに出品されるケースが増えました。わかりやすくていいですね。

組子細工用木材

職人のものづくりについて

先月、TSUTAYA CREATORS’ PROGRAMの公式ライター 芦田央さんの取材を受けました。
タニハタの歴史や組子職人のものづくりについお話しさせていただいたのですが、その内容が公開されました。

1~2時間くらいの取材を受けると、TVや紙媒体の場合は、時間や文章量の制約がありかなりカットされる
ことが多いのですが、ネット記事になるとその制限が少なくなり「生」の感じになりますね。

かなり長文になりますが、組子や職人について興味のある方はご覧いただければ幸いです。

https://note.com/dj_gandhi/n/n3cb1655c4b22

タニハタ 取材 組子

省エネ対策として工場内の工事を行いました

無駄なエネルギーを使わないように・・・
昨年から少しずつ工場の断熱・省エネ対策をいろいろ施しているのですが、今年に入ってから下記の3つの工事を行いました。


1 工場屋根の断熱工事

工場屋根に吹付発泡ウレタン工事を行いました。

暖かい空気は下から上へと流れていきます、そのため、天井の断熱性が低いと暖かい空気が逃げてしまうとのこと。
屋根に断熱材を使ってふたをすることで、熱を逃がさず冬でも暖かい工場にできる・・・とのことで工場の2階屋根裏に
断熱工事を行いました。

ちなみにこの発泡ウレタンの泡は一つ一つが独立した気泡になっており、この中に熱を伝えにくいガスが封じ込められています。
このため、長期に亘って優れた断熱性能を維持します。 夏、冬どちらにも効果があります。

吹付発泡ウレタン工事 工場屋根
吹付発泡ウレタン工事 吹きつけ
吹付発泡ウレタン工事 職人
吹付発泡ウレタン工事 仕上がり
ウレタンの液はピンク色でした。
吹付発泡ウレタン工事 白塗装
最後に白く塗装して仕上がりました。工場も綺麗になりました。

2 事務所のガラス工事

昨年の8月、木取り場工場の窓を二重サッシにしてかなり効果があったので、今度は事務所の窓に取り付けしました。
前回は、ガラス屋さんに工事を依頼したのですが、今回は自分達でペアガラスを注文し木枠を取り付け、事務所ガラス面に設置しました。

既存の窓は1枚ガラスでしたので・・・プラスすると3枚のトリプルガラスになりました。


限られた空間においては、暖められた空気は膨張して気温の低い方向へ流れていきます。
大きなガラスを設置している事務所の冬はそんな理由から寒くなってしまいます。。

夏、冬ともに効果がでることを期待しています。

組子 タニハタ 事務所 ガラス設置 脱炭素

3 ペレットストーブを導入

新しくイタリア製のペレットストーブを導入しました。

イタリアのペレットストーブはデザイン性がありながらも、最先端技術が詰まった高機能な機種がそろっています。
お客様と打ち合わせをする部屋ですので温度管理の楽なタイプを今回選びました。

ペレットストーブ イタリア製 組子
組子の切りクズ 有効活用 タニハタ

これで工場内のペレットストーブは8台に。
(他に大型薪ストーブ一台)

タニハタでは組子製作の際に発生する切りクズを集めて工場の中でペレットを作っています。

そのペレットを石油燃料代わりに使用して冬場の暖房に使用しています。

このペレット製造装置「ペレタイザー」(下写真)を導入してから石油暖房を工場内では一切使用していません。

「組子の切りクズだけで冬の暖房が間に合うのか?」とよく聞かれるのですが、
年間10トン以上の切りクズが発生しますので、「売り物」にするほどあります。(今季はかなりタニハタ製ペレットが売れています。)

20年前までは、この切りクズを焼却処分していたのですが「杉やヒノキの切りクズも貴重な天然資源」という考えから有効活用しています。

石油や電力料金も高騰しており、早めにペレタイザーやペレットストーブを導入しておいて良かった・・・という思いです。

木材の切りクズからできる「木質バイオマスエネルギー」は、カーボン・ニュートラルな燃料として、CO2排出量削減への貢献が大きいと期待されているエネルギー資源。これからもどんどん活用していきたいと思います。

日本の住宅のエネルギー消費量は、冬期の暖房が全体の消費量の約3割を占めているとのこと。
冬場のエネルギー対策をしっかり施して「脱炭素経営」をタニハタでは目指していきたいと思います。

ペレターザー おがくず 有効活用

第8回富山県ものづくり大賞 <優秀賞>を受賞

富山県の製造業の活性化に貢献した企業をたたえる「第8回富山県ものづくり大賞 優秀賞」にタニハタの「組子『麻の葉ちらしシリーズ 全18種』」が選ばれました。

ものづくり大賞は富山県が2010年度に創設し、2年に1度表彰が行われる公的機関のコンペティションとなります。
過去、富山県内のものづくり企業29社(主に金属、薬品業界)が入賞しており、建築、建具、木工業界では初めての受賞となりました。

タニハタ 第8回富山県ものづくり大賞 報告会

表彰式は2月1日、富山ANAクラウンプラザホテル富山で行われました。

受賞式の前に<組子麻の葉ちらしシリーズ>の製品説明を20分ほどさせていただきました。

タニハタ 第8回富山県ものづくり大賞 表彰式

新田富山県知事から賞状をいただきました。

タニハタ 第8回富山県ものづくり大賞 写真撮影

大賞はトヨックス様が受賞されました。

タニハタ 第8回富山県ものづくり大賞 ANA ホテル

4名だけ表彰式に参加可能・・・ということで「麻の葉ちらしシリーズ」開発に関わった会社メンバー4人で参加、表彰式の最後に新田知事と一緒に記念撮影させていただきました。

タニハタが困難な時期にも工場長として支え続けてくれた最高齢の職人 高島が「俺は今日の表彰式は一生忘れん。本当に嬉しかった。」と喜んでいる姿を見られたことが、社長として何より嬉しかったです。


タニハタ 第8回富山県ものづくり大賞 賞状と目録

過去、海外で賞を何度かいただいておりますが、地元ものづくり県「富山」で評価していただくというのは、又違った喜びがあります。

これまで会社を支えてくださった多くの取引先、社員の皆様に心より感謝申し上げます。
伝統から未来へ・・・今回の受賞を機に、より一層精進してまいりたいと思います。

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